“もらい泣き”のマスターズ実況・TBS小笠原亘アナ 高視聴率に「しゃべりがいがあった」

[ 2021年4月13日 20:32 ]

マスターズの中継で実況を担当した小笠原亘アナウンサー。
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 男子ゴルフ・松山英樹(29=LEXUS)の日本男子メジャー制初覇を伝えたTBS「マスターズゴルフ2021 最終日」(12日前5・00~8・20)の平均世帯視聴率は12・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。TBSが1976年にのマスターズ中継を開始して以来、歴代最高の数字。2009年の9・2%を2・9ポイント上回った。“もらい泣き中継”と話題になった、実況担当の小笠原亘アナウンサー(48)に話を聞いた。

 平日午前では異例の高視聴率。「ゴルフはすごく専門性が高くて、未だにおじさんのスポーツというイメージあるかもしれないけど、松山選手のおかげでゴルフを知って、こんなに素晴らしいスポーツなんだって思ってくれる人がいたと思うんですよ。そういう人たちが見てくれたことが嬉しいです」と笑顔を見せた。
 ゴルフ担当のアナウンサーとして、選手の活躍を長年伝えてきた。それだけに感慨深さもある。「ゴルフは興味ある人はすごく興味あるけど、興味ない人はまったく分からないという典型的な競技だと思う。それが、松山選手のおかげで“見た見た”と。男子ゴルフは女子ゴルフに押されてるところもあるので。今週は国内の男子ゴルフも開幕しますし、男子ゴルフに勢いが出てきてくれると嬉しいですね」。

 瞬間最高視聴率は、午前8時5分の17・7%。同8時3分に優勝を決めた松山がクラブハウスへ引き揚げる姿が映し出され、その後にウイニングパットがリプレーされた場面。小笠原アナは優勝が決まってから、解説の中嶋常幸(66)、宮里優作(40)両プロとともに感涙。言葉が出ず、“沈黙の55秒間”と話題になった。午前8時5分は、その後に再び話し始めた時間。「マスターズの壁を松山英樹は乗り越えました」とたたえた。

 小笠原アナは「各局が一斉に速報を打って、TBSに視聴者の方が流れてきたら、おじさん3人が泣いているシーンだったんだと思います」と笑いながら、「でも、そうですか。いいですね。嬉しいですね」と多くの人に松山選手の快挙を届けられたことを喜んだ。

 コロナ禍のため現地入りせず、2年連続で赤坂のスタジオから実況した。「スタッフのみんなが“赤坂でできることをやってみよう”ではじめてますから、本当に良かったという感じになってますね。“良い放送だったね”で終わるのもいいんですけど、それが数字になって出てきてくれると、“本当に良かったね”と。世の中の人が見てくれたんだと思うと、作りがいがあったんだ、しゃべりがいがあったんだと思える」と語った。

 マスターズを1976年から放送しているTBSにとっても、日本人選手の優勝は悲願。その時に実況を担当できた。「本当にそれは、たまたま僕の担当の時に松山英樹というすごい選手が出てきたというだけで。本当に松山選手に感謝ですよね」と謙虚に語りつつも、「先輩たちからマスターズを実況するにあたっていろいろ教えてもらいましたし、TBSでも一番のイベントだってことは言われてきました。1年に1回しかないけど、そこに向けてどういう準備をするかということも言われてきましたから」。マスターズの担当アナとして強い気持ちがにじみ出た。

 メジャー大会は特に多くの人にゴルフを伝えることができるタイミング。「マスターズはプロゴルファーの方が何よりも見てるんです。現場で“マスターズしゃべってるんだね”と言われますし。もちろん、アマチュアの方にも言われますよ。私が練習場で球打ってたら“あれ、意外とゴルフうまくないんだね、ゴルフ担当してるのに”なんていうマニアックなおじさんもいたりして」と笑いながら明かした。ちなみに、自身のゴルフのスコアは「95って書いてもっていいですか?」とのこと。

 若いアナウンサーへさまざまな役割を譲る年齢に入って来ている。ただ、松山の活躍をこれからも伝えたい思いが強い。「松山プロは来年連覇するかもしれないし、五輪もそうですけど、ほかのメジャーも勝つかもしれない。中嶋さんも“1回勝ったことで、すごい選手になる予感がする”と、放送じゃないところでおっしゃっていた。2回、3回勝つ、そういうこともあるかもしれない。声の出る限り、会社に肩を叩かれる限りはやらせてくださいという感じですね」と力強く語った。

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2021年4月13日のニュース