九州国際大付 コロナに負けず7年ぶり初戦突破 エース香西「感謝の思い」体現の完投

[ 2022年8月12日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権第6日・2回戦   九州国際大付2―1明徳義塾 ( 2022年8月11日    甲子園 )

<九州国際大付・明徳義塾>初戦突破を果たした九州国際大付ナイン(撮影・後藤 大輝)
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 2回戦4試合が行われた。九州国際大付(福岡)は明徳義塾(高知)を2―1で破り、夏は7年ぶりの初戦突破を決めた。先発した背番号11の香西一希投手(3年)が5安打1失点完投。大会前に新型コロナウイルスの集団感染が確認され、出場が危ぶまれていたチームを緩急自在のピッチングで救った。

 チームの危機を救う最高の投球だった。九州国際大付の左腕・香西が、県大会4回戦以来のマウンドで1失点完投。「任せてもらった場面で投げることを意識していたので、体の準備は練習からバッチリだった。要所で踏ん張って投げることができた」と笑みを浮かべた。

 今春選抜で8強入りに貢献した緩急自在の投球は健在だった。直球は130キロに届かなかったが、「いつもよりボールは走っていたので、それを軸に緩急で勝負しよう」と決めた。3回に失策が絡んで先制を許したが、4回以降はカーブ、チェンジアップなど変化球を効果的に使いながら的を絞らせない。6回2死一、二塁などのピンチも冷静に対処。楠城徹監督は「マウンドさばき、打者に向かっていく思い。高校生が目指す投手のスタイルではないかと思う」と称えた。

 チームは大会前に新型コロナウイルスの集団感染が確認され、甲子園でのリハーサルと開会式を欠席するなど出場が危ぶまれた。全員の陰性を確認し、登録選手2人が入れ替わった。香西も福岡大会の5回戦を前に新型コロナウイルスに感染して戦線を離脱。「みんなが“香西をもう一回甲子園に”と言葉をかけてくれた。甲子園でチャンスがあれば感謝の思いで投げたいと思っていた」。背番号1は2年生・池田悠舞に譲ったが、エースの気概を帰ってきた聖地のマウンドで示した。

 「(離脱した)2人が戻ってくるまで自分たちも頑張りたい」と香西。3回戦は初戦で1試合2本塁打を放った浅野翔吾を擁する高松商と対戦する。目標の全国制覇へ越えなければならない壁。「持っているものを全部出して、緩急で抑えていきたい」とプロ注目の強打者を封じるイメージはできている。(杉浦 友樹)

 ◇香西 一希(こうざい・かずき)2004年(平16)10月13日生まれ、福岡県出身の17歳。小学2年で高取少年野球クラブで競技を始める。中学時代は硬式の糸島ボーイズに所属。高校では2年春からベンチ入り。特技はけん玉。1メートル71、70キロ。左投げ左打ち。

 《佐倉は無安打、逆襲誓う》「2年生ビッグ4」で、打者では唯一今大会に出場している佐倉(人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗(きょうしろう)は4打数無安打2三振。8回は前の打者の野田が申告敬遠で回ってきた打席で遊ゴロ併殺に倒れた。「自分のバッティングができなかったのが反省点」と唇をかんだ。次戦に向け「勝利に貢献できるようなことができたらと思います」と逆襲を誓った。

 《両校生演奏なし》第3試合の明徳義塾―九州国際大付は両校のアルプス席にブラスバンドの姿がなく、事前に録音した音源が流れた。例年吹奏楽部員に加えてOBなど有志を募って応援していた明徳義塾はコロナ下で十分な人数を集められないと判断し、生演奏を取りやめ。九州国際大付は吹奏楽部員に体調不良者が出たため、大事を取って初戦の入場を見送った。次戦から生演奏する予定。今大会ではブラスバンドは50人以内の入場が認められている。

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