ヤクルト サヨナラ勝ちで史上最速M53点灯!塩見が初劇打

[ 2022年7月3日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト2―1DeNA ( 2022年7月2日    神宮 )

<ヤ・D>10回、サヨナラ内野安打を放った塩見(中央)は手荒い祝福を受ける(撮影・村上 大輔)
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 ヤクルトは2日、DeNA戦に延長10回の末2―1のサヨナラ勝ちを飾り、2リーグ制以降最速でリーグ優勝へのマジック「53」を点灯させた。これまでは1965年7月6日に点灯させた南海が日付では最速だった。塩見泰隆外野手(29)が8回に同点打、10回にサヨナラ打を放った。この日2位巨人が敗れて勝率5割となったことから、ヤクルトがセ・リーグの貯金を独占した。 

 力んだ。思い切り力が入って叩きつけてしまった。でも、力が入っていた分だけ打球が高く弾んでいた。一塁へ走りながら塩見はサヨナラを確信した。

 「最高にうれしいです!プロでサヨナラヒットはなかったので。カウントも有利になって力みが出てしまった」。喜びと反省。笑顔に気恥ずかしさも入り交じり、塩見が歓喜のシーンを振り返った。

 1―1で迎えた延長10回1死満塁。最高の場面で巡ってきた打席に向かう前、一塁ベンチで山田にお願いをした。「サヨナラしたことないんです」。そう言うと、山田が「じゃあ、俺がパワーをあげるよ。お前、打てるよ」と握手してくれた。土壇場でこんな会話ができるのが今のヤクルト。チームリーダーのパワーを授かり、塩見はカウント3―1から150キロ直球を強振した。高いバウンドに、ジャンプして捕球した三塁・宮崎の本塁への送球は間に合わない。一塁を回った塩見は駆け寄ってきたナインからのウオーターシャワーに酔いしれ、山田からは「ほら、俺がパワーをあげたおかげだ」と言われた。

 リーグトップの得点圏打率・375の勝負強さを見せつけ、65年南海の7月6日を57年ぶりに抜いて、日付では史上最速となるマジック53を点灯させた。2位巨人が敗れて勝率5割となり、2位以下全ての球団の貯金がなくなった。開幕直後を除けば19年7月20日の巨人以来3年ぶりの独走状態。貯金27、巨人とのゲーム差13・5はいずれも今季最大だ。

 独走を支えるのがアットホームなチームの雰囲気だという。「本当に、家族のようなチーム。毎日毎日クラブハウスに来るのが楽しい」。1点を追う8回の中前同点打も、この男のバットから。既に昨季の数字にあと1と迫る20盗塁、あと3の2桁11本塁打、昨季を上回る打率・313と、ここまで主に1番に座り、チームになくてはならない斬り込み隊長へと成長を遂げた。

 「マジックとか正直考えてなくて。一試合一試合勝っていく。そういう感じ」。先を見ず、目の前にだけ集中するその歩みはただ力強い。登場曲のJRAのG1ファンファーレに乗り、連覇というゴールへ塩見がけん引する。(秋村 誠人)

 《65年の南海超え》ヤクルトが65年南海の7月6日を抜く2リーグ制以降最速のマジック点灯を果たした。昨年の10月8日より3カ月以上早い点灯で、01年の8月16日だった球団最速点灯も大幅に更新。2位以下で唯一、自力優勝の可能性が残っていたDeNAが残り71試合に全勝すると104勝39敗の勝率.727。ヤクルトが残り67試合のうちDeNA戦を除いた53試合に全勝すれば104勝38敗1分けの勝率.732となりDeNAを上回る。マジック対象はDeNAと広島となり、最短での優勝決定は8月12日。過去の両リーグ最速優勝は90年巨人の9月8日だが、塗り替えられるか。

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2022年7月3日のニュース