東都大学リーグの改革と挑戦 レベル底上げ、地方創生に攻めの運営

[ 2022年7月3日 08:00 ]

東都大学野球秋季1部リーグ開幕戦の福島開催の会見に臨んだ6大学の主将ら。前列左から駒大・与倉主将、国学院大・古江主将、亜大・田中幹主将。後列左から中大・森下副主将、日大・峯主将、青学大・山田主将
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 東都大学野球リーグの改革が進んでいる。6月26日には近年では例がなかった2部選抜―社会人チームの交流試合が行われた。大学生がよりレベルの高い社会人野球と対戦することで刺激を受けたり、リーグ戦では出場機会に恵まれなかった下級生の経験の場を増やす目的で実施された。

 特に、2部選抜の投手陣は主に1イニング限定で登板。トヨタ自動車とNTT東日本という都市対抗に出場する2チームと試合ができたことは、大きな経験になっただろう。下級生にとっては実戦感覚を養う場になり、4年生のドラフト候補はプロスカウトへ現状をアピールするチャンスになったはずだ。

 実際に今春2部リーグ戦では不調から2試合の登板だった東農大の最速147キロ左腕・宮崎颯投手(4年)は、NTT東日本戦の4回に登板。この日の最速は140キロにとどまり、1安打2四球で1死満塁のピンチを背負うも、最後の打者を三ゴロ併殺に打ち取る粘投を見せ、1回無失点。「今できる投球はできた。もう一つ上のレベルに行けるように、頑張りたい」と振り返った。スタンドで視察したパ・リーグ球団のスカウトは「秋に向けて楽しみな投球を見せてくれた」と評価も上々だった。

 その他にも、9月3、4日の今秋1部リーグ開幕カードは福島県での開催が決まった。リーグの地方開幕戦は今春の大分県に続き、史上2度目。大分では3日間で約3万人を動員したこともあり、連盟側は今後は地方開幕戦を続けていく意向だ。

 同じ神宮を使用する東京六大学野球の日程との兼ね合いで、平日開催が多い東都にとっては学生の授業がない土日に試合が開催できることや、試合開催で話題を呼び、地方創生に一役買うことができるなどのメリットがある。

 9月3日は、昨夏の東京五輪で侍ジャパンの試合が行われた県営あづま球場で実施される予定で、6月27日の記者会見に出席した内堀雅雄福島県知事は「(五輪で)無観客だった不完全燃焼をリベンジするチャンス。素晴らしい開幕戦になるように準備していく」と力を込めた。開催地の首長が会見に出席することだけでも、期待値の大きさがうかがえる。(記者コラム・田中 健人)
 

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