広島・西川 プロ初サヨナラ弾で今季2度目の劇勝主役!延長10回“詰まった”3号ソロ

[ 2022年5月8日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-1DeNA ( 2022年5月7日    マツダ )

<広・D>10回2死、右越えにサヨナラ本塁打を放った広島・西川(背番号63)はナインの待つ輪に飛び込む (撮影・奥 調)
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 広島・西川龍馬外野手(27)が7日のDeNA戦で、同点の延長10回に自身初となるサヨナラ本塁打を放って接戦に終止符を打った。チームは今季3度目のサヨナラ勝ちで、西川が決めたのは2度目。先発・森下暢仁投手(24)の9回1失点の好投に野手陣が奮起し、2位・巨人に0・5差に接近した。

 西川は手に残る感触の鈍さを喜んでいた。「詰まってよかった…」。同点の延長10回2死無走者。カウント1―1からの三嶋のスライダーが内角高めに浮く。思い切り引っ張りたい気持ちを抑え、体の開きを限界まで我慢してから振り抜いた。

 右翼ポール際に上がった飛球は、確かに詰まっていた。ただし曲がることなく真っすぐ飛んでいき、右翼席最前列で弾んだ。「芯でとらえていたらファウルだったと思う」。高度な打撃技術も“詰まった”劇的3号ソロ。手応えの悪さに柵越えを信じ切れず、少し不思議な表情でナインの輪に飛び込んだ。

 「ポール際が切れない、理想と言えば理想の打球。会心やったら、もっと喜んで回っていたけど、まさか入るとは思わなかった」

 同学年の鈴木誠也はメジャーに移籍し、気付けばチームの中心的な存在になった。後輩から打撃指導を頼まれることも少なくない。ある日は「高めの打ち方を教えてください」と言われた。そこで伝えた言葉は「ヘッドの重みを利用すればええねん」。バットのヘッドを利かせるようにして、構えた位置からそのまま振り下ろしていると言う。

 打席に入る前には、極端なダウンスイングを1度行う。これは高めの球をたたいてとらえる意識を再確認するため。試合を決めた球は高めに浮いた変化球だった。自身がイメージする通りに球を上からたたくと、打球は角度よく上がってサヨナラ本塁打に変わった。

 後輩への見本は打撃技術だけではない。1、2打席目と連続で三振。昨季までなら集中力が途切れる展開だった。「去年までは、やられたらやられっぱなし。年齢も中堅になったし、誠也が抜けたということもある。若い子も多いし、責任感を持ってやらないといけない」。全打席凡退して迎えた5打席目の一発は、中心選手としての覚悟の表れだった。

 前夜は延長戦の末に敗戦。この嫌な流れを引きずらずに、踏みとどまるのが今季のカープの特徴だ。「昨日は(延長戦で)やられたので、最後の最後、勝ててよかった」。西川の集中力が赤ヘルを粘り強くさせている。(河合 洋介)

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