大谷が球宴勝利投手!19年マー君以来日本人2人目 全投手最速の161キロで三振「取りにいった」

[ 2021年7月15日 02:30 ]

オールスター戦   ア・リーグ5―2ナ・リーグ ( 2021年7月13日    デンバー )

初回2死、アレナドと対戦する大谷(撮影・沢田 明徳)
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 試合開始直前のセレモニー。選手がグラウンドに飛び出し、大型ビジョンでド派手な選手紹介が進む中で、大谷は中堅後方で黙々と「壁当て」を続けた。特別ルールの採用により「1番・DH」で先発投手として出場することが可能になり、球宴史上初の投打同時出場。ブレずにルーティンをこなしつつ、心は燃えたぎっていた。

 「普段はそんなに初回から三振ばかり狙うことはないけど、今日は全部取りにいった」

 打者出場直後の初回のマウンド。4万9184人の観衆の視線を独り占めにした。ナ・リーグトップ28本塁打のタティスはカットボールで左飛に仕留め、続くマンシーを直球で二ゴロに打ち取ると、ギアを上げた。

 本塁打王3度の3番アレナドへの4球目、この日の全投手で最速の100・1マイル(約161キロ)。ファウルで前に飛ばさせず、最後はスプリットで遊ゴロに仕留めた。この対戦で160キロ以上を3度計測し、1回を3人斬り。「(三振を)取れなかったけど、良いところに投げてもコンタクトする率も高い。さすがだなと思う打者が多い」。2回に味方が先制し、これが決勝点に。19年の田中(ヤンキース、現楽天)以来、日本投手2人目の白星を手にした。

 打席では、かねて対戦したい投手に挙げていたナショナルズのシャーザーの前に二ゴロ。降板後の3回はブルワーズの右腕バーンズの初球を打って一ゴロに倒れお役御免となった。「ルール自体を変えてもらって2打席立たせてもらった。感謝している。また何回でも(出場)できるように頑張りたい」とすがすがしい表情で話した。

 ベンチでは花巻東の3学年先輩のマリナーズ・菊池と話し込むなど、他球団の選手と触れ合った。「いろいろ勉強になりました。ゲームだけでなくて準備の仕方とか、どういう練習をしているかとか」。前半戦で両リーグ単独トップの33本塁打を放ち、投手では4勝。16日(日本時間17日)から始まる後半戦では1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利&2桁本塁打」、そして過去5人しか達成していない60本塁打に期待が懸かる。偉業に向かう27歳にとって、実りと刺激にあふれる初舞台だった。(柳原 直之)

 ▽球宴の勝ち投手 MLB、NPBともに勝利投手についてはレギュラーシーズンとは違う規定が適用される。通常、先発投手は5回以上(勝利チームの守備回数が5回の試合では4回)を投げ、かつチームがリードしている場合、勝利投手の権利が発生する。球宴ではイニング数の規定は適用されていない。公認野球規則の9・17(e)では球宴などの場合「勝チームが試合の最後までリードを保った時には、そのリードを奪った当時投球していた投手(先発または救援)に与える」と定義されている。

 ▼ロイヤルズ・ペレス ウオームアップの時からゲームに向けてゆっくりと準備していた。(何年か前に)対戦したことがあるけど、今の方がいい。もっと速い球を投げるし、今の方がベターだと思う。

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