斎藤隆氏 4年前ピオリアで“遭遇”した2人の対決に感慨…大谷は「本物」を証明した

[ 2021年7月15日 02:30 ]

オールスター戦   ア・リーグ5―2ナ・リーグ ( 2021年7月13日    デンバー )

先発し三者凡退に抑え笑顔の大谷(撮影・沢田 明徳)
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 【斎藤隆氏 評論】前日の本塁打競争であれだけ体力を消耗すれば、普通は投げられない。しかし、この日の大谷は久々に指にかかった真っすぐを投げていた。アレナドを空振りさせた97マイル(約156キロ)は、カット気味に入るいい時の直球。高地のデンバーは変化球が曲がりにくいが、スライダーも切れていた。いつも以上にアドレナリンが出ていた影響もあると思うが、今季は登板前日も野手として出場。それに耐えうるだけの体の強さが出来上がっている。

 1番・タティスとの対決は感慨深かった。私がパドレスの球団アドバイザーをしていた17年2月、当時日本ハムの大谷がピオリアの球団施設でキャンプを行い、同じフィールドに18歳のタティスがいた。4年後、両リーグ本塁打トップとして球宴で対決するとは…。間違いなく今後のMLBを背負っていく世代の中心となる2人だ。

 肉体的にも大変な2日間だったが、オールスターに選ばれたからこそ、得られるものもある。私は07年の球宴で、通算601セーブのトレバー・ホフマンのウオーミングアップやストレッチを見て、どういうルーティンをしているか非常に参考になった。大谷は二刀流という誰とも違う調整をしているが、他の選手を見て刺激になることも多かったのではないか。

 大谷の二刀流についてはこれまで、西海岸の、しかも優勝争いをしていないチームだからこそできている、という懐疑的な見方も一部ではあった。しかし、直前のヤンキースタジアムでの活躍から今回の球宴で、「大谷は本物だ」と全米規模で認められた。今後「ネクスト大谷」を探そうという動きも出てくるかもしれない。しかし、やってみて、改めて二刀流の難しさが分かるのではないか。それだけ大谷は別次元のことをやっている。(元パドレス球団アドバイザー)

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2021年7月15日のニュース