6勝目の広島・森下 柳を目指した原点は“喫茶店”での明大入学決意 恩人との投げ合いでは防御率0・39

[ 2021年7月15日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-0中日 ( 2021年7月14日    マツダ )

<広・中>力投する先発の森下(撮影・奥 調)
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 広島・森下暢仁投手(23)は、14日の中日戦に先発し、8回被安打5、無失点に抑える好投で今季6勝目を挙げた。中9日で迎えた東京五輪前最後のリーグ戦登板。明大の3学年先輩にあたる柳との3度目の投げ合いを制した。打線では、小園海斗内野手(21)が4回に決勝の1号ソロを放ち、今季初の4連勝で前半戦を折り返した。

 森下の8回無失点の好投には、2つのポイントがあった。まずは先頭打者。2試合連続で初回先頭に長打を許していた。「初回の先頭打者と打たれた後の投球を意識した。若干(初回に力を入れた)」。初回先頭の京田を2球連続の直球で一ゴロに抑えたことで、4試合ぶりとなる初回無失点につなげた。

 もう一つの好投の要因は、明大の3学年先輩にあたる柳の存在だった。「柳さんがいい投手なので(小園の)本塁打がなかったら無得点の展開だった。あの1点があって、守り切らないといけないな…と思って投げていた」。最少失点に抑える柳の好投にも刺激を受け、1―0の6回2死二塁ではビシエドを外角直球で見逃し三振。奪三振数は5ながら、ストライク勝負を徹底して、8回108球とリズムが生まれた。

 柳との初めての出会いは、高卒でのプロ入りを諦め切れずにいた高校3年の9月にさかのぼる。当時の明大・善波達也監督から熱心に大学進学を勧められて、6度も面会。最後の食事会で同席したのが、明大3年だった阪神・坂本と柳の2人だった。食事後には、選手3人だけで喫茶店で話し合った。帰宅後、「あんな状況までつくってくれたらね…」と両親に苦笑いしながら大学に進学することを伝えた。

 明大進学後は先輩の背中を追いかけた。大きく曲がる特徴的なカーブは、柳の握りなどを参考にしたものだ。柳との同部屋に指名されて、エースとしての姿勢も学んだ。「結果を残さないと信頼される投手になれないということを柳さんから教わった」。柳との投げ合いは通算3度目で計23イニング1失点、防御率0・39と力がみなぎる。制球が抜群だったこの日、唯一の四球は柳に与えたもの。今も意識せざるを得ない、特別な先輩なのだ。

 「(柳を)やっぱり意識します。打ってくれるとは思ったけど、自分の投球をしたいと思って投げていた」

 前半最終戦を白星で締めて、東京五輪に向かう。「金メダルを獲れるように頑張りたい」。日の丸を背負う準備は整った。(河合 洋介)

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