MLB中止も…問題視されるコロナ対策違反 NPBでも「密」が散見 難しいバランスのとり方

[ 2020年8月1日 13:00 ]

MLBのマンフレッド・コミッショナー(AP)
Photo By AP

 大リーグで発生したクラスター問題が、リーグ続行を揺るがす事態に発展しようとしている。スポーツ専門局ESPNによると、ロブ・マンフレッド・コミッショナーは状況が悪化すれば、シーズンを中止する可能性があると大リーグの選手会へ伝えたという。

 31日(日本時間1日)までに、マーリンズでは選手18人が感染。マ軍と3連戦を行っていたフィリーズでは、コーチとスタッフの感染が明らかになった。

 また同日、カージナルスで選手2人の感染が発覚。ブルワーズ戦が中止され、延期となった。

 リーグ戦なので、影響は当該チームだけにとどまらない。マーリンズと対戦予定だったオリオールズ、そしてフィリーズと対戦予定だったヤンキースは、急きょ互いの対戦を前倒しして7月29、30日と2連戦を行った。当初は8月3、4日に組まれていたもの。逆にその3、4日にはまだ試合予定を入れられず、空白のままとなっている。本来ならばオ軍はマ軍と、ヤ軍はフ軍との対戦を組み込めれば都合がいいのだが、マ軍、フ軍とも感染拡大の状況が把握できたとは言い難く、試合挙行の可否が判断できていない。

 州政府などでは、ガイドラインに反し、試合中のハイタッチや唾を吐いたりする選手を問題視しているという。感染拡大が日本よりもひどい米国だけあって、一部の選手はプレー中もバフを顔にまいたり、スポーツマスクの扱いとして身につけている。ただ一方で、唾吐きは選手にとっては目のまばたきみたいなもので、身体に染みついてしまっている。ひまわりの種が禁止されたダグアウトは以前よりはるかにきれいに映るが、ボディタッチを含めて全てを守り切れているとは言い難い。

 7月27日、日本のプロ野球とJリーグが合同設置した新型コロナウイルス対策連絡会議では、日本のプロ野球でもサヨナラ勝利後のシーンなど、「密」ではないか、との質問が専門家チームに飛んだ。

 愛知医科大学の三鴨廣繁教授は「私自身もテレビで見ていて“ん?”と思ったこともある」と前置いた上で「しかしながら、サヨナラ勝利後の接触も15分という濃厚接触の定義には当たらない。だけどもし感染者がいたら感染する可能性はゼロではない」と指摘した。

 そして自然にわき出る感情や動きと、興行という側面の難しさに言及した。「人々に感動を与えるのがプロスポーツ。選手たちがしらけていてはだめだとも思うし、バランスの取り方が極めて難しい。これに関してはリスクがあると言わざるを得ないが、この行為をどうするかはプロ野球でお決めになればよいかと思います」とした。

 日米ともに新様式のプレースタイルを行っていることに違いないだろうが、意識しなければならない点はまだまだ数多いのかもしれない。そこがこのウイルスの難しいところであり、怖い部分でもある。(記者コラム・後藤 茂樹)

続きを表示

2020年8月1日のニュース