この夏だから結成できた合同チーム、明石西と蒼開の明石海峡友情物語

[ 2020年8月1日 18:28 ]

兵庫県大会2回戦   明石西・蒼開0―10社(6回コールド) ( 明石市・明石トーカロ球場 )

<社×明石西・蒼開>6回コールドで終わり、社の校歌を聞く明石西・蒼開ナイン(撮影・井垣 忠夫)
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 明石海峡を挟んで友情を育んだ。強豪の社に0―10の6回コールド負けをした明石西・蒼開のエースで主将、宮田真知(まなと、3年)は「合同チームになったことで、他の学校にはない経験ができた」と、初戦で散った最後の夏の感想を口にした。

 新型コロナウイルスの影響を受けたこの夏だからこそ、結成されたチームだった。兵庫県高野連は独自大会の今夏に限り、「より多くの学校が参加できるように」、部員が9人いても合同チームが組める特別ルールを作った。通常は9人未満でないと資格がない。3学年でちょうど9人の明石西は、たった3人の蒼開と出る道を選んだ。

 2校は昨秋、合同チームを組んで公式戦に出場した。月に2回、蒼開の部員が教師が運転する自動車に乗って、淡路島の洲本市から明石海峡大橋を渡り、明石西のグラウンドで汗を流した。春になり、1年生が入ったことで明石西は単独での出場が可能になったが、味気ない選択をしなかった。明石西の畠山義隆監督は「4月半ばぐらいでしょうか。生徒にどうする?と聞いたら、ぜひ蒼開と一緒にやりたいということでした」と振り返る。

 コロナ禍により、4月以降に明石西と蒼開の2校が集まれたのは、練習試合の2回だけだった。連携プレーはほとんどできていない。蒼開にすれば、部員3人のため、普段の練習でさえも思うようにできていない。ハンデは顕著ながら、2回、無死一、二塁、社の7番・西山龍誠(3年)の中前打で、蒼開の数少ない部員、山本睦稀中堅手(むつき、2年)が本塁へストライク返球をして二塁走者を刺した。ファインプレーだった。

 8番右翼で出場した蒼開の主将、伊達海翔(3年)は「練習で一緒になった時にもっと会話ができていれば」と反省点を口にしつつも、「諦めずに最後までやろうと思った」と最後の夏を迎えられたことに感謝をした。

 友情だけの話ではない。明石西の主将、宮田は「蒼開を放っておけなかった」という気持ちとともに、「9人だと、ベンチワークを考えると体力的にしんどい。全員一致で決めた」と現実的な意見を口にした。例え単独で出たとしても、9人ではランナーコーチやバット引きなどの役目がめまぐるしく回ってきて、ドタバタしかねない。合同チームは、試合で力を発揮するための、高校生なりの計算もあった。

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