【内田雅也の追球】「見逃し」ではなく「見極め」――見送りストライク目立つ阪神・ボーア

[ 2020年3月1日 08:00 ]

4回、見逃し三振に倒れるボーア(投手・東浜)
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 5本塁打を放った阪神打線で、4番の新外国人ジャスティン・ボーアは3打数無安打だった。

 見逃しストライクが目立った。各打席の内容を書き出してみる。(○=見逃しストライク、●=ボール、F=ファウル、◎=打球)
 (1)●○○F◎(中飛)
 (2)F●○○(三振)
 (3)○○◎(遊ゴロ)

 3打席12球のうち、見逃しストライクが半分の6球もある。
 前回出場のオープン戦(2月24日・ヤクルト戦=浦添)も2打席連続で見逃し三振だった。この見送り傾向は対外試合が始まってからずっと続いている。

 「感覚のずれもあるかと思う」と打撃コーチ・井上一樹は言った。「たくさんボールを見るなかで、“え? あの球がストライク?”といったような見逃しもあったかと思う。彼はいま、ストライクゾーンも含め、ジャパニーズスタイルに合わせようとしているんだろうね」

 ボーアはいま、日本の配球や球筋、ストライクゾーンを見極めようとしているのだ。そのため、できるだけ多くの投球を見ようと心がけている。積極的な待球策とでも言おうか。

 オリックスの大物新外国人、大リーグ通算282本塁打のアダム・ジョーンズはキャンプ中、2月17日のキャンプ・シート打撃で4打席、全12球をすべて見送っている。この時、ジョーンズは「この時期にヒットを打つことは意味のないこと。打席でのタイミングだとか、審判のストライクゾーンに慣れるのが大切。バットを振る重要性はあまりない」と意図を説明していた。

 3冠王3度の落合博満もオープン戦序盤、全打席で1度もバットを振らなかったことがあった。まだ調整途上で打ちにいき、感覚やフォームが崩れるのを避けていたといわれる。

 ボーアにも同じ狙いを感じる。いま打席で行っているのは英語で言えば「テイク」(take)だ。だが、ストライクの「見逃し」ではなく「見送り」、さらに書けば「見極め」なのだろう。

 実際に打撃の状態は悪くはない。試合前のフリー打撃ではペイペイ・ドームの右翼席や右中間席に特大のアーチをかけていた。
 また、一塁守備でも3回裏、甲斐拓也の三塁線寄りゴロは間一髪のタイミングで、体を目いっぱい伸ばしての捕球でアウトにしていた。

 「彼は頭のいい選手ですからね。少しも心配していません」と井上は言った。能あるタカ……いや、虎視眈々(たんたん)なのだとみている。      =敬称略=
           (編集委員)

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