夢は日本選手の“通訳兼広報” エ軍で奮闘する23歳の日系4世

[ 2019年9月23日 10:00 ]

今季からエンゼルスの広報として働いているルーク篠田さん
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 大谷翔平投手(25)が所属するエンゼルスで3月から広報部の一員として働く日本人がいる。日系4世のルーク篠田さん(23)。持ち前の明るさと語学力でメディアとの橋渡し的存在となり、チームとともに今シーズンを戦い抜いた一人だ。

 「ロサンゼルスの大学に通っていたので、地元に近い球団を探していました。4球団くらい受けました。そのタイミングでエンゼルスがスタッフを“公募”していたので応募しました」

 東京都大田区出身。幼稚園から高校まで都内のインターナショナルスクールで学び、野球部に所属した。高校2年時には日本や韓国のインターナショナルスクール、米軍基地の高校生などが集う「ファー・イースト・トーナメント」で「5番・三塁」で打率6割を記録し、チームの準優勝に貢献。しかし、米国で大学に進学後、わずか1年で野球を断念することになる。「ロースター枠が28人で構成されていて、3年生が編入で入ってきて僕が切られました。そこで選手は辞めて、自分のキャリアにフォーカスしようと決断しました」。大学1年秋には、ロサンゼルスのロヨラ・メリーマウント大に編入。インターン生としてMLBジャパン、代理人事務所などで働いた。17年WBCには東京ドーム開催の試合で通訳として協力。昨年はドジャース傘下1Aで広報業務にも携わり、これが一つの転機になった。

 「PR(広報)は幅広くいろいろな仕事に関わることができるので、この分野(広報)で上り詰めたいです。もっとメジャーリーグを日本の方々に知って頂きたいですし、選手もメディアの方々も、もっとやりやすい環境をもっと整えていきたいです」。今年2月にはキャンプ中の限定契約でヤンキースのキャンプにも広報として参加。ヤンキースとエンゼルスの広報部のつながりが深かったことから、3月から“地元”に近いエンゼルスで働くことになり「メジャー30球団で日本語が話せる広報がついているのはヤンキースとエンゼルスの2球団だけだったので、そこで働けたことは良かったです」と振り返った。

 メジャーリーグのチーム付広報は華やかなイメージを持つ方も多いだろうが、相当な勤勉さが求められる。篠田さんの場合、ホームで午後7時開始の試合であれば7時間前の同12時には球場入り。メジャーリーグでは試合前にメディアにここまでの戦いぶりや個人成績、対戦成績、ケガの状況など様々なトピックが記されたゲームノートと呼ばれる数枚の紙が配られるが、これは全てホームチームの広報部が作成する。篠田さんが担当するのはマイナーリーグのレポートと、試合後に配布されるポストゲームノート。こちらには試合で発生した様々な記録が分かりやすく整理されており「記者の方々が使えそうなデータとか、常に目を光らせています。野球をよく知っている人だけでなく、一般の人が見ても分かるようなデータを使わないといけないとか、そういう配慮をしないといけません」。試合中からパソコンとにらめっこしながら、業務に励んでいる。

 もちろん、同年代の大谷とも交流がある。「今はルークと呼ばれていますけど、最初は(映画スターウォーズシリーズの主人公と引っかけて)“スカイウォーカー”と呼ばれていました」。野球にストイックな姿にはいつも感銘を受けており、「真面目ですね。野球のことしか考えていない。常に向上心がありますし」と印象を語った。

 「将来的にはこれからメジャーリーグに来る日本選手の“通訳兼広報”をしたいですね。通訳と広報の両方をできる人がいいと思うので。メディアの方々、そして選手がプレーしやすい環境を整えた方がいいのかなと思います」。篠田さんの夢は大きい。そして、現実に必要とされる時がすぐに来るだろう。(記者コラム・柳原 直之)

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