【内田雅也の追球】天国の「名手」の嘆き――他界した鎌田実氏と拙守のソラーテ

[ 2019年8月3日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神0―7広島 ( 2019年8月2日    マツダ )

初回1死満塁、松山の打球を弾いて痛恨の適時失策を犯すソラーテ(撮影・北條 貴史)
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 鎌田実さんはジャンピングスローする現役時代のモノクロ写真を大切に持っていた。「この写真を子どもたちに見せて、自慢しているんだよ」

 昨年も元気に少年野球の指導を続けていた。何度か武庫川河川敷でお会いした。軟式野球の子どもたちがボールを追っていた。本当に野球が好きな方だった。

 その鎌田さんが亡くなった。1日に逝き、2日に悲報が伝わった。今年に入ってから肺がんと闘っていたそうだ。80歳だった。

 いま、天国にいる鎌田さんが見れば、嘆き悲しむのではないか。いや怒るだろうか。

 阪神は惨敗だった。問題は二塁手で先発出場した新外国人ヤンハービス・ソラーテの守備だ。

 若いプロ2年目、高橋遥人の立ち上がり、1回裏1死満塁。内野陣は二塁上での併殺を狙う守備体形だった。松山竜平のゴロは二塁手ほぼ正面。これを弾いた。先取点を献上した。

 鎌田さんなら併殺に仕上げ、無失点でこの回を終えていただろう。得意のバックトスだったかもしれない。動画で見たことがあるが、相当な距離でもバックトスで二塁送球していた。

 しかも、阪神の現役時代、遊撃手は「牛若丸」と呼ばれた吉田義男さん。当代随一のキーストンコンビだった。三塁手の三宅秀史さんと鉄壁の内野陣と言われた。堅守こそ阪神の伝統のはずだ。

 ソラーテにとっては左手にはめたグラブ側のゴロで、恐らく1回転して二塁送球を狙ったのだろう。いや、事情はどうあれ、凡守に変わりはない。

 1回を無失点なら、その後の展開も当然、違っていた。ソラーテ失策の後、ボテボテの三ゴロで2点目も失い、広島に主導権を握られたのだ。

 それにしても、ソラーテの拙守はどうも納得がいかない。来日から出場7試合で失策は3個目。記録に残らないミスも数多い。しかし、主に三塁手、二塁手で起用された大リーグでの成績を見れば、688試合で56失策、約12試合に1個と一定の成績を残している。また、この夜は慣れているはずの内野天然芝のマツダスタジアムだった。

 大量失点の零敗。夏のロード、旅の始まりは最悪のスタートとなった。巨人が沈み、DeNA、広島と首位争いの様相。上下位が分かれいく現状が辛い。正念場である。

 矢野燿大監督も守備の不安が消えないソラーテの起用法で頭が痛い。鎌田さんは名解説者だった。どうすればいいですか。(編集委員)

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