雄星 勝ちたかった…亡き父・雄治さん葬儀に白星ささげられず唇かむ

[ 2019年4月6日 11:40 ]

ア・リーグ   マリナーズ8-10ホワイトソックス ( 2019年4月5日    シカゴ )

<ホワイトソックス・マリナーズ>2回、マウンドで汗を拭う菊池(撮影・会津 智海)
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 マリナーズの菊池雄星投手(27)は5日(日本時間6日)、父・雄治さん(享年59)の死去後初登板となった敵地でのホワイトソックス戦に先発。5回を7安打6失点(4自責点)ながら勝ち投手の権利を持って降板したが、救援陣が打ち込まれメジャー初勝利は2戦連続で消滅。亡き父にささげる初白星は次戦へと持ち越された。

 どうしても勝ちたかった。試合後の菊池は悔しさを隠そうとせず「立ち上がりは難しいところはありましたけど、そこで粘りきれなかったのが一番」と、唇をかんだ。

 初回は味方にも足を引っ張られた。先頭ガルシアの平凡なゴロを遊撃手ベッカムが失策。無死一、二塁からはアブレイユの正面へのゴロをベッカムがお手玉し、一塁への送球もそれた。2つの失策が重なり1点を失い、いきなり同点とされた。

 だが、菊池は守備の乱れを嘆くことなく、自身の投球とメンタル面を反省した。「早く最初のアウトが欲しいところで、2ストライクと追い込んでから甘いところにいった」。その後、無死満塁から5番モンカダにカウント2―2から94マイル(約151キロ)の直球が真ん中に入り勝ち越し2点二塁打を浴びた。2回にも先頭からの4連打などで3点を失い、この時点で1―6。勝利を欲するがために、ストライクゾーンを自身で狭めてしまった。

 悪天候の影響で予定より1日遅れの登板。初白星にいつも以上にこだわるのには理由があった。この日、遠く離れた岩手県花巻市では亡き父・雄司さんの葬儀が予定されていた。菊池が米国シカゴのマウンドに上がったのは日本時間午前3時。メジャーへの夢を後押しし続けてくれた父に白星をささげたい。そう思うのは当然のことだった。

 それでも3回からは「気持ちも切り替えられ、ボールも修正できた」。5回までの3イニングは1安打投球で無死点。流れを引き寄せ6回に4得点した攻撃陣の逆転劇を呼び込んだが、降板後に救援陣が崩れ初勝利は幻と消えた。

 「次の試合にしっかり自分のピッチングをして、必ず勝ちたい」
 次回先発予定は10日(同11日)、敵地でのロイヤルズ戦。強い思いで父・雄治さんに届けるメジャー初白星を目指す。(笹田幸嗣通信員)

 ▼マリナーズ スコット・サービス監督「序盤は少し切れがなかった。デーゲームでもあるしね。でも3回以降は素晴らしい投球だった。彼の投球に打線が応えた」

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