イチロー 3度目の国民栄誉賞辞退 菅官房長官「気持ち尊重」

[ 2019年4月6日 02:30 ]

3月21日のアスレチックス戦の後、ファンの声援に応えるイチロー
Photo By スポニチ

 米大リーグを引退したイチロー(45)が国民栄誉賞の受賞を辞退したことが5日、分かった。2001年と04年に続く3度目の辞退となる。

 イチローは代理人を通じ、受賞の辞退を日本政府に伝えた。菅義偉官房長官は政府の打診に対して「人生の幕を下ろした時に頂けるよう励みます」との返答があったと説明し、授与を見合わせることを発表した。

 イチローは3月21日、マリナーズの外野手として東京ドームでの公式戦に出場後、会見し引退を表明。プロ野球で前人未到の7年連続首位打者に輝き、米大リーグで歴代23位の通算3089安打、日米通算で4367安打を記録したレジェンド。政府は、日米で長く活躍した実績を「数多くの輝かしい記録を樹立した」(菅氏)と高く評価し、国民栄誉賞の授与を検討していた。

 3回目となる辞退に関し、菅氏は「本人の気持ちを尊重し、今般の現役引退に伴う検討を見送ることにした」とした。

 政府はこれまで、イチローが大リーグ1年目で首位打者のタイトルを獲得した01年と、シーズン最多安打の新記録を樹立した04年に国民栄誉賞の授与を打診。だがイチローは、01年には「まだ若いので、できれば辞退したい」、04年には「プレーを続けている間はもらう立場にはない」とし、いずれも断っていた。現役を引退した今回は「今度こそは」との期待が政府内で出ていた。

 夏の参院選を前に「政治利用」との批判を受けないよう丁寧に手続きを進める考えだった。だが結果は、またも辞退。永田町関係者は「授賞は安倍政権のイメージアップに少なからずつながるとみていたはずで、断られてガッカリしているでしょう」と話す。自民党関係者は「塚田氏の辞任とともにダブルショック」と語った。

 【過去の辞退】
 ▼01年10月 米大リーグ挑戦1年目で、打率・350、盗塁56で2冠獲得など大活躍。オールスターには新人初のファン投票トップで出場。「自分はまだ28歳で発展途上。過去に受賞されたのは偉大な方ばかり」
 ▼04年10月 シーズン262安打で、米大リーグ最多記録を84年ぶりに更新。「プレーを続けている間はもらう立場ではない。途中で国家から表彰を受け、ピークが終わったと受け取られるとファンの方々にも申し訳ない」

 ≪会見から2週間、公には姿見せず≫イチローは東京ドームで行われた3月21日のアスレチックス戦後の記者会見で現役引退を表明。翌22日に弓子夫人(53)とともに成田空港から自宅のあるシアトルへ出国した。その後も、米国でトレーニングを続けているとみられるが、公には姿を見せておらず、米本土開幕前のファン感謝イベントも不参加だった。マ軍のジェリー・ディポトGMは地元ファンのためにセレモニーを検討中であることを明かし、「マリナーズファミリーの一員として残る」と、球団で役職を用意する考えも示している。

続きを表示

2019年4月6日のニュース