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森保ジャパン、いざ8強へクロアチア戦 26人「総力戦」にして「走力戦」制して歴史の扉こじ開ける

[ 2022年12月5日 05:10 ]

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会

会見場に到着した森保監督(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 いざ、扉を開け――。日本代表は5日(日本時間6日午前0時)、史上初のベスト8入りを懸けて決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表と対戦する。森保一監督(54)率いる日本代表の特長は、「26人総力戦」。走り勝った先に、前回準優勝国からの勝利と、かつてない歓喜が舞い込む。

 26人の“走力戦”で、日本に新しい景色をもたらす。前日会見に出席した森保監督は「総合力で戦っていきたい。120分間で考えると交代枠は5+1。チーム全体で試合をつないで、最後にものにしたい」と力を込めた。広島時代の教え子であるクロアチア人のミキッチの名を挙げ、「彼からいろんな情報が漏れないように」と願うジョークも。落ち着いた表情で決戦を見据えた。

 この勝負、日本に分がある。1次リーグ3試合の1人あたりの平均走行距離はクロアチアが21・5キロに対し、日本は15・4。日本が圧倒的に少ない理由は、1次リーグ3試合での起用人数の差による。クロアチアが16強進出チーム最少の16人で、日本は3試合目まで突破決定がもつれた国では最多の22人だった。

 大会は中3日で続く過密日程。日本はコスタリカ戦で先発を5人入れ替えるなど思いきったターンオーバーを敢行した。批判を浴びたが、ベスト8以上の目標から逆算したからこその策で、ほぼ全てベストメンバーだったクロアチアの疲弊は明らか。さらに日本はスペイン戦で負傷明けの冨安と遠藤を途中起用に回して体力温存に成功し、クロアチア戦は酒井まで復帰する可能性が高い。余力を残しており、勝負どころでベストに近い陣容を組むことができる。

 主力とサブ。森保監督の中に2つの区分けはない。「このチームのいいところは、26人全員の選手が、“自分はレギュラーだ”と思ってくれているところ」。途中出場から2得点の堂安も「僕たちは26対11で戦っているイメージ」と呼応する。ドイツ戦もスペイン戦も、5人の交代枠をフル活用して「総力戦」を実現してきた。

 元野球少年の指揮官の脳内には、野球の継投のようなイメージがある。「先発、中継ぎ、クローザー。役割の違いがある中で、勝つために個々が機能していく」。前半は堅く耐え、三笘ら交代選手がリズムを変えて得点を奪い、最後はしぶとくはじき返す。「理想は前半から相手を圧倒して臨みたい」が、現実に対応しながら全員でトータルで勝つ。誰が欠けても成立しない。その分、全体の力も増す。

 強度の高い過酷な戦いと日程の中でも、森保ジャパンなら走り勝っていける。「マラソンのように、相手の大きなパワーに対しても互角に戦いながら、最後に持久力を生かして相手を上回っていくことは日本の良さの一つ」。先に8強のゴールテープを切る勝算は、十分にある。

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2022年12月5日のニュース