「鎌倉殿の13人」小栗旬も仁田忠常ロス ネット号泣…高岸宏行も驚きの最期「今も止めたい」芝居も応援業

[ 2022年8月21日 20:45 ]

「鎌倉殿の13人」仁田忠常役・高岸宏行インタビュー

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第32話。鎌倉御所・廊下。1人、思い悩む仁田忠常(ティモンディ高岸宏行)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は21日、第32回が放送され、お笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行(28)が好演し、視聴者の癒やしの存在となった武士・仁田忠常の最期が描かれた。涙を禁じ得ない視聴者が続出。SNS上には「仁田殿ロス」が広がった。高岸に撮影の舞台裏を聞いた。

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 高岸は再現ドラマなどに出演した経験はあるが、本格的な演技は今回が初挑戦。大河初出演はもちろん、ドラマ出演自体が初となった。

 今回演じた仁田忠常は、北条を支えた伊豆の武士。本拠が近い北条家とは仲が良く、頼まれ事も度々。笑顔がトレードマークだが、勇猛果敢に重要な任務を果たしてきた。

 第6回「悪い知らせ」(2月13日)は、北条宗時(片岡愛之助)が北条館から持ち帰るはずだった源頼朝(大泉洋)の観音像を発見。安房に逃れた北条義時(小栗)に届けた。

 第21回「仏の眼差し」(5月29日)は、川に流された八重(新垣結衣)が助からなかったと政子に報告。泣き崩れた。

 第17回「助命と宿命」(5月1日)は武田信義(八嶋智人)の息子・一条忠頼(前原滉)を斬り、「富士の巻狩り」と「曽我事件」を描いた第23回(6月12日)は曽我十郎(田邊和也)の異変を察知。第30回「全成の確率」(8月7日)は、源頼家(金子大地)の配下たちを食い止める姿が「仁田ガンダム」とSNS上で話題を集めた。

 そして、第32回は「災いの種」。奇跡的に息を吹き返した2代鎌倉殿・頼家。政子のもとに義時、泰時らが集まり、新たな体制について話し合う…という展開。

 政子は比企一族は自害したと“真実”を告げたが、頼家は北条の仕業と確信。和田義盛(横田栄司)と仁田忠常(高岸)を呼び出し、事情聴取。能員討ちを命じたのが時政と分かり「許せん。和田に仁田、時政の首を取って、ここに持ってまいれ。あいつがやったことは謀反と変わりがない。討伐するのだ」と怒りは収まらない。

 義盛は「家で一杯やっていくか」と誘ったが、実際に手を下した忠常は「いえ、私は。御免」と断った。

 義盛は義村と畠山重忠(中川大志)に相談し、時政に報告。時政は「よう知らせてくれた。しかし、仁田はなぜ何も言うてこん。まさか攻めてくるつもりではなかろうな」と心配したが、重忠が「仁田殿は律儀な方。頼家様が亡くなると思われた。覚悟を決めたというのに、こんなことになり、板挟みとなって、悩んでおられるのでしょう」とフォローした。

 忠常は1人、思い詰めたように刀を見つめ、天を仰ぐ。そして、義時に会いに行き「小四郎殿、相談したいことがございます」。義時は「急ぎ館に戻らねばならんのだ。またにしてくれるか。すまん」とタイミングが合わず。忠常は「かしこまりました」と切ない笑みを浮かべた。

 義時が館に戻ると、実は頼家の長男・一幡(相澤壮太)を匿っていると北条泰時(坂口健太郎)が報告。そして、比奈(堀田真由)からの離縁の申し出を受け入れ、善児(梶原善)の小屋に向かった。

 義時が館に戻ると、再び泰時が急告。忠常の骸を目にし、義時は「なぜだ」。泰時は「不意に御所に現れ、命を捨てますと言って、止める間もなくご自害を」。義時は目頭を押さえた。

 義時は頼家を諌めた。「頼家様の軽々しく一言が、忠義に厚い真の坂東武者を、この世から消してしまわれたのです」「しかし、よろしいですか。頼家様のお気持ちが変わらぬ限り、同じことがまた繰り返されるのです。お分かりいただきたい」。伊豆・修善寺への頼家追放を決心した。

 史書「吾妻鏡」によると、忠常は能員追討の恩賞を受けるため時政邸に入ったものの、一向に退出しない。忠常が既に処断されたと思った忠常の弟・五郎と六郎は義時邸へ。この弟たちの行動により、忠常は謀反の疑いをかけられ、加藤景廉に討たれた。

 今作の最期は自害。最初に台本を読んだ時の心境について、高岸は「仁田忠常の最期は色々な説があるということなんですけど(自害は)僕の頭の中にはありませんでした。こういう終わり方もあるのか、と。最後まで“三谷マジック”を実感しました」と驚き。「それでも、今回の律儀な仁田なら、こうなってしまうというのは、僕としては腑に落ちました。三谷さんの仁田への愛情に感動しました」と振り返った。

 「お芝居の技術やテクニックは僕にはないので、最初からずっと『この時、仁田ならどう思うだろう』と彼の気持ちだけは分かろうと思って演じてきました。仁田の最期も、僕なりに100%感情を乗っけられたと思います」と述懐。初回(1月9日)から登場した役を全うした。

 義時が相談に乗っていれば、結果は違ったのか。

 「仁田忠常の強さは、身を捧げてでも北条や鎌倉殿を支えるという信念があったからこそだと思うんですけど、板挟みになったことで自分の軸がブレてしまい、義時にも相談できなかったことで余計にパニックに陥ってしまったんだと思います。いち高岸としては『大丈夫だよ』と仁田を励ましてあげたかったですし(仁田の自害を)止めたいという気持ちは今もありますよ(笑)。でも、この仁田の最期があるからこそ、物語に奥行きが出る。それが『鎌倉殿の13人』の魅力なのは分かっているので、いち高岸としては悲しかったですけど、作品のために自分ができるのは仁田の気持ちになり切ること。それに徹しました」

 義時・小栗も仁田・高岸のラスト回に「『小栗旬個人としては寂しいよ、泣きそうになるよ』とおっしゃっていただいて、うれしかったですね。演技経験のない僕に対しても、最初からずっと優しく接してくださったお兄ちゃんのような方。なので、小栗さんをはじめ諸先輩方のためにも、最後まで全力で演じようと気持ちを入れ直すことができました」と感謝した。

 第22回「義時の生きる道」(6月5日)は高岸のキャッチフレーズ「やればできる!」がそのまま忠常の台詞に。SNS上で反響を呼んだ。

 京から帰った義時は八重の遺志を継ぎ、子どもたちの世話。忠常が手伝い「やればできる!できるよ、大丈夫」と子どもたちを励ましたが、その後い「小四郎殿、やっぱり私には無理です。御免」。義時は「ご苦労さま。いつもすまない」と労った。

 「もし三谷さんが高岸だからということで書いてくださったのであれば、うれしいですね」

 野球の独立リーグ、ルートインBCリーグ・栃木に入団し、今月14日(埼玉戦)に初登板初先発。本格演技初挑戦とは思えない好演と存在感に、お笑い芸人&プロ野球選手&俳優の“三刀流”への期待も高まる。

 「まだ1つの作品しか携わっていないですけど、お芝居は別の人生を生きられますし、みんながスクラムを組んで1つの作品に向かっていく現場のパワーも素晴らしくて、本当に魅力的なお仕事だと思います。僕自身は何のために表現をしているかというと、頂いた役割を通じて、みんなを応援したいからなんです。例えば今回は、演技経験もない芸人が大河ドラマにチャレンジすることで、みんなに勇気を届けられるんじゃないかと思ってトライさせていただきました。今回、僕はお芝居から元気を頂き、それをみんなに届ける経験をしました。これも立派な応援業。なので、もし、お芝居のお話を頂けた時は、前向きにチャレンジさせていただきたいと思います」

 SNS上には「何がつらいって、5日前(三嶋大祭り)、生きて動いている仁田殿をこの目で見たのに、『やればできる!』って言ってくれたのに、まさか今週こんな形で退場してしまうなんて…(号泣)」などの声が続出。視聴者の涙を誘った。

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