藤井聡太王将 3年ぶり開催「人間将棋」初参戦 “お約束”駆使で苦手の佐々木六段撃破

[ 2022年4月18日 05:30 ]

人間将棋の対戦相手・佐々木大地六段(左)とポーズを決める藤井聡太王将
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 将棋の藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=は17日、将棋駒の生産量日本一で知られる山形県天童市の舞鶴山山頂広場で行われた「第67回天童桜まつり」のメインイベント「人間将棋」で佐々木大地六段(26)と対戦した。2000本の桜が咲く中、敷かれた約15×17メートルの将棋盤。実際の人間を駒に見立てて行われる春の恒例行事に対局者として武者装束で登場した藤井は“お約束”の武者言葉を自由自在に駆使して後手番で130手で勝利した。

 コロナ下のため3年ぶりの開催。人間将棋に初挑戦した藤井はサービス精神満開だ。掛け合い用語について解説役の木村一基九段(48)から「語尾に…でござる、を付けるだけでいいんですよ」とアドバイスを受けると「大変参考になったでござる」と即答。つかみはOKで、600人以上の観衆をしっかりと温めた。これには対戦相手の佐々木も「1本取られたでござる」と舌を巻くばかり。

 対局開始のあいさつも受けに受けた。「佐々木殿と師匠の深浦(康市)九段にはよく痛い目に遭わされておるので、今日はその借りを返す絶好の機会じゃ」。公式戦で佐々木に2勝2敗、深浦には1勝3敗と大苦戦している事実を自虐的にアレンジしてみせた。

 対局中もユーモアあふれる掛け合いを次から次に披露。相掛かり戦型に進み、木村が「この形だと(人間将棋では義務の)全部の駒を使いにくい」と解説すると「聞いておらなかった。木村殿も人が悪い」とすかさず返す。佐々木が「ここは公式戦なら1時間考えとる」と苦笑気味に明かすと「1時間考えたいのはこちらも同じじゃ!」。その一言一言に会場は柔らかな笑いに包まれた。

 コロナ以前は約5万人の観光客が詰めかけ、人間将棋会場には1800人ほどが入場していたが、今回は感染対策のため場内660人、隣接のパブリックビューイング会場550人に入場制限を課した。1210席を巡る希望者は1万1714人。競争率9・7倍は藤井人気を物語った。

 108手目に相手を含めて全40駒を動かし、最後は「一気に寄せてかかろう!」と宣言して19手の即詰め勝利。快晴の屋外イベントとあって日焼け止めを施しての初体験を終えた藤井は「桜も満開、天気も良く、素晴らしい中で人間将棋ができていい経験になりました」と爽やかな笑顔を見せたでござる。(我満 晴朗)

 ▽人間将棋 武者に扮した人物を駒に見立て床面に描かれた約15×17メートルの巨大盤上で対局する娯楽色の強い将棋。対局者も甲冑(かっちゅう)を身につける。戦国時代が起源とされ、将棋のまち天童市では1956年(昭31)に始まり春の風物詩として親しまれてきた。当初は市長らが棋士役を演じたが、90年代からエキシビションマッチに。過去には羽生善治九段(51)、渡辺明名人(37)らも出演している。

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2022年4月18日のニュース