文化支えた“老舗”にコロナ余波 歌舞伎専門誌「演劇界」休刊、岩波ホールは閉館へ

[ 2022年1月12日 05:30 ]

閉館が発表された「岩波ホール」の入っているビルの入り口=11日午後、東京・神田神保町
Photo By 共同

 小学館と同社傘下の演劇出版社は11日、前身から115年の歴史を持つ歌舞伎専門誌「演劇界」を、3月3日発売予定の4月号で休刊すると発表した。また、開館から54年の東京・神田神保町のミニシアター「岩波ホール」も同日、7月29日をもって閉館すると発表。いずれも新型コロナ禍が理由で、文化面で大きな打撃が続いた。

 「演劇界」は1907年創刊の「演芸画報」が母体。戦時中の43年に創刊され、休刊を経て50年に月刊誌として復刊。現在、唯一の歌舞伎専門誌で、歌舞伎俳優のインタビューや舞台写真、劇評などで親しまれている。2007年に、誌面をリニューアルし、表紙写真は写真家の篠山紀信氏が担当。歌舞伎関係者は「若手俳優にとっては、インタビューが掲載されたり表紙になることが夢」と、俳優にとっても特別な存在だった。

 新型コロナの感染拡大で歌舞伎の休演が続いた20年には、歌舞伎俳優117人の思いを掲載した6・7月号が完売し、異例の増刷が話題となった。最近は実売数千部と伸び悩み、小学館は「昨今の社会情勢および出版界を取り巻く環境の急速な変化に雑誌発刊の継続が困難と判断」と説明。歌舞伎関係者は「演劇界の歴史は歌舞伎界の歴史で、資料としても貴重だった。休刊は非常に残念」と話した。

 単館公開作品を上映するミニシアターの先駆けとされる「岩波ホール」は1968年に多目的ホールとして開館。74年に総支配人の高野悦子さんらが埋もれた名作映画を上映する運動「エキプ・ド・シネマ」をはじめ、単館映画館として、文芸作品や思想系の作品、社会派ドキュメンタリーなどを中心に紹介してきた。これまでに65カ国・271作品を上映。主な人気作品に、リンゼイ・アンダーソン監督の「八月の鯨」、メイベル・チャン監督の「宋家の三姉妹」などがある。最近は新型コロナの影響で経営環境が悪化していた。

 《厳しい出版界…「セブンティーン」「パーゴルフ」も》ここ数年、雑誌の休刊やミニシアターなどの閉館が相次いでいる。女性誌の中でも高い人気を誇っていた、女子中高生向けの月刊ファッション誌「セブンティーン」の定期刊行終了や総合ライフスタイル誌「ミセス」の休刊は大きな話題に。娯楽雑誌の「アサヒカメラ」、「パーゴルフ」なども休刊に入った。大手の映画配給会社が扱わない作品を独自に選んで上映していた「アップリンク渋谷」はコロナ禍で資金繰りが厳しくなり、昨年5月に閉館した。

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