「半沢」と戦った男…実力派俳優、今井朋彦が踏み出した“新たな1歩”幅広い活躍に期待

[ 2020年10月31日 23:40 ]

今井朋彦
Photo By スポニチ

 1日に千秋楽を迎える舞台「真夏の夜の夢」(東京芸術劇場プレイハウス)で実力派俳優今井朋彦(53)が存在感を放っている。観客からは「まるで今井劇場だった」との声が続出している。

 TBS「半沢直樹」で、主人公・半沢が戦ったIT企業「電脳雑伎集団」の財務担当者・玉置を演じて、お茶の間の幅広い世代に強い印象を残したばかり。「真夏の…」は33年所属した文学座を6月に退団後、初めての舞台で、今井にとって新たな1歩の作品だ。

 演じているのは、シェークスピアの原作にはない悪魔メフィスト。異色の登場は、潤色を担当した劇作家、演出家の野田秀樹氏(64)による今作の大きな特長でもある。その大役を任された今井は序盤から独特の世界観を披露。そこに観客の目が釘付けとなっている。

 今井は稽古序盤に取材した際に「原作にない分、僕をどう位置づけるか。どこに出てきて何をしだすやら。そこを楽しみにしてほしい。シェイクスピアの真夏…はこうじゃないって僕は言われませんから、語弊があるけれど無責任でいられる」と話していた。

 実際、舞台上では自由度の高い設定を生かして縦横無尽に動き回り、観客は気付けばその姿に引き込まれていた。実力のある俳優が演じると、ここまで作品が面白くなるということを実感できる作品になっていた。

 2012年の「破産した男」で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど、舞台で数々の賞に輝き、テレビでも三谷幸喜氏(59)が脚本・総合演出を務めたフジテレビドラマ「HR」(02年10月~03年3月)に出演以降、三谷作品を含めて出演が増えている。すでにNHK大河ドラマやCMでその存在は話題になっていたが、文学座退団で新たなスタートを切ったことでますます幅広い活躍が期待できそう。今井旋風の予感が高まっている。(記者コラム)

続きを表示

2020年10月31日のニュース