日本ハム新球場は「サグラダ・ファミリア」 “未完成”エスコンに光、屋根が初めて開いた

[ 2023年4月14日 06:00 ]

エスコンフィールドの屋根から覗いた青空(撮影・高橋 茂夫)
Photo By スポニチ

 北の大地に誕生した新球場「エスコンフィールド北海道」。14日からは今季2度目の開催となる西武3連戦が行われる。国内初となる天然芝を完備した開閉式のドーム球場はファンだけでなく、選手にとっても充実した構造となっている。選手空間のコンセプトは「静(安らぎ)」と「動(戦い)」。1882年着工のサグラダ・ファミリアのように、未完成と位置づけられた新球場の魅力に迫った。 (取材・構成 秋村 誠人)

 可動式屋根がこの日、開業から初めてオープンした。北朝鮮のミサイル発射を受け、当初の予定より30分遅れた午前8時30分から作業を開始。屋根は26分かけて全開した。球団担当者は「全長136メートル、約1万トンの屋根が開いた今日(13日)の球場はまた違った顔であり、景色に映るのではないでしょうか」とコメント。今後は天気の状況を見ながら、屋根を開けていく予定だという。

 ≪癒やしの昼寝部屋も≫安らぎの空間として注目される一つがナップルームだ。選手がいつでも昼寝をできる部屋で、大手寝具メーカー西川がプロデュース。アロマのほかに、音と照明を自動調整して効果的に自然な睡眠が取れるようになっており、選手の利用率も高い。また、ジャグジーは温冷2種類あるほか、本物の温泉をひいた風呂場にサウナまで完備。選手が疲労した体を癒やせる空間となっている。

 ≪「大教室」に栗山監督の名≫ミーティングルームは映画館のようにシアター形式の座席を採用した。部屋の名前は「大教室 プロフェッサー・栗山英樹」で、21年まで10年間チームを率いて現在は球団プロフェッサーの栗山英樹氏の名前を冠した空間だ。さらにコーチミーティングやフロントの会議を実施する部屋も「ヒルマン戦略室」と名付けられており、06年に球団を44年ぶりの日本一へ導いたトレイ・ヒルマン氏の名前を冠している。

 ≪ベンチに久慈次郎のロゴ≫ベンチ入り口にあるブルペン連絡用の電話の横に、北海道の野球史を感じられるロゴがある。エントランスにパネルが飾られている久慈次郎が、地元・函館で営業していたクジ運動具店のロゴだ。また、ヒストリーロードと名付けられた廊下には球団史を振り返る写真の数々が並び、歴史に触れられる場所が随所にある。監督室へ向かう廊下にも45年に誕生した日本ハムの前身セネタースから歴代監督の写真が飾られている。

 ≪新庄監督“見て”異例の監督室見学可≫スタジアムツアーの一つ「プレミアムツアー」では通常は非公開エリアのクラブハウスなどを見学できる。ファイターズガールの案内で、ロッカールームやミーティングルームのほか監督室もツアーコースだ。監督室の見学は球界では異例中の異例だが、新庄監督の希望で「ファンの方々に“来てよかった”と思ってもらいたいので」と実現したという。スタジアムツアーの日程など詳細はFビレッジ公式サイトで。

 ≪完成までに300年≫▽サグラダ・ファミリア カタルーニャ語で「Sagrada Familia」は聖家族教会という意味を持つ。1882年に着工され、建築家・アントニ・ガウディが翌83年から専任建築家に推薦された。生涯をかけて設計に携わったが未完成のまま1926年に死去。かつては資金不足により工事が滞ったが、2021年には全18基の中で2番目に高い塔となる聖母マリアの塔が完成。スペイン・バルセロナ市のシンボルとしても知られる世界遺産で完成まで300年ほどかかるという声もある。

続きを表示

この記事のフォト

2023年4月14日のニュース