村神様の御利益打!ボテボテ走者一掃で決めたヤクルト日本S進出 史上初2年連続スイープ

[ 2022年10月15日 05:30 ]

セCSファイナルステージ第3戦   ヤクルト6―3阪神 ( 2022年10月14日    神宮 )

<ヤ・神>7回、村上の投ゴロを浜地が一塁へ悪送球、満塁の走者一掃打となり苦笑いでガッツポーズ(撮影・村上 大輔)
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 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦はヤクルトが阪神を下し、4勝(アドバンテージ1勝含む)で2年連続の日本シリーズ進出を決めた。3点を追う7回は2点を返し、なお2死満塁で村上宗隆内野手(22)が投手への適時内野安打を放つと、あまりに力のない打球が相手失策も誘い後続2者も生還。今季は日本選手最多の56号&3冠王も獲得した男が、勝負どころで“秘打・ボテボテ”を披露した。

 おそらく今季のプロ野球でスイングと打球が最も反比例した瞬間だろう。浜地の甘い直球を村上がフルスイング。打球はファンで埋まるスタンド…、ではなく、すぐ近くの地面に落ちて一塁線を力なく転がった。必死の形相で走り一塁にヘッドスライディング。浜地も決死のグラブトスを敢行も送球は一塁手の頭上へ大きくそれた。

 「前の打者の方々の必死に粘ってつなぐ姿勢を見ていた。その気持ちを背負って打席に立った。いいヒットではなかったけれど、それも野球なので、僕の中で満足しています」

 3点を追う7回に1点差に迫り、なお2死満塁。6球目にボテボテの打球で適時内野安打をもぎ取ると、浜地の悪送球がファウルゾーンを転々とする間に同点の走者だけでなく後続の2者も一気に生還した。打点は1も、まさかの展開に「何とも言えない気持ち」と一塁ベース上で思わず爆笑。高津監督からは試合後の会見で「最後、ムネの“スクイズ”…じゃなかった?」といじられ「あれはわざとです」と応じた。

 リーグ優勝に向けて歩を進めていた昨季終盤。10月5日の巨人との天王山でも気迫のヘッドスライディングで先制点をもぎ取り流れを引き寄せた。打撃だけでなく激走もチームを乗せる。高津監督も「ムネが素晴らしい当たりを最後に打ってくれた」と笑いつつ「持ってる男ですね。素晴らしいヘッドスライディング」と評価する。

 前日の第2戦では自身CS初アーチとなる逆転決勝弾。この日も“逆転決勝打”でチームをCS史上初となる2年連続スイープ(昨年はアドバンテージ1勝含む3勝1分け)での日本シリーズ進出に導いた。レギュラーシーズンでは143試合目で日本選手最多の56号を放ち、史上最年少で3冠王にも輝いた記録的イヤー。リーグ連覇を果たした王者として負けられない舞台でも、ファンの記憶に残る“秘打”を放った。
 球団史上初となる2年連続の日本一へ、村上は「どれだけ自分の体と心を合わせられるかが大事になる。勝ちに向かい、必死に野球を楽しみながら頑張りたい」と力を込める。今季終盤は話題を独占した「村神様」の御利益は、まだまだ続く。(青森 正宣)

 《セ初2年連続無敗突破》ヤクルトがアドバンテージの1勝を含めた4勝0敗でファイナルS突破。日本シリーズをかけたプレーオフ、CSの無敗突破は、昨季のヤクルト自身とオリックスに次ぎ延べ14チーム目。うち、2年連続は前後期制時代のパ・プレーオフで79、80年近鉄がマークして以来42年ぶり2球団目で、セ球団では初の快挙だ。また、ヤクルトの日本シリーズ出場は昨年に続き9度目。2年連続出場は野村克也監督が率いた92年(対西武=3勝4敗)、93年(対西武=4勝3敗)以来29年ぶり2度目で、初のシリーズ連覇を目指す。なお、オリックスとの対戦なら2年連続4度目、ソフトバンクなら15年以来2度目となるがどうか。

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2022年10月15日のニュース