千賀 窮地のソフトバンク救った「もう後がなかったので、少し緊張していた」奇跡4連勝の突破へつなぐ

[ 2022年10月15日 05:00 ]

パCSファイナルステージ第3戦   ソフトバンク3ー0オリックス ( 2022年10月14日    京セラD )

パCSファイナル<オ・ソ>3回、三森が好守備を見せ、グラブを叩いて喜ぶ千賀(撮影・岡田 丈靖)
Photo By スポニチ

 さすがエース!プロ野球クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ(6試合制)は14日に第3戦が行われた。パ・リーグはソフトバンクがオリックスに快勝した。千賀滉大投手(29)は脚がつって降板する6回0/3まで3安打無失点の好投。リーグ優勝チームのアドバンテージ1勝を含め成績を1勝3敗とした。野村勇内野手(25)がCS、プレーオフでは球団新人初となる本塁打で援護。奇跡4連勝の突破へ、さあ反撃だ。

 崖っ縁のチームを救ったのは、やはり千賀だ。エースの貫禄を示した6回0/3回3安打無失点。両脚がつり、緊急降板したが万雷の拍手が力投を物語った。

 「もう後がなかったので、少し緊張していた。とにかくチームの士気を下げないように心掛けて、明日の先発にこの緊張感を味わってもらうと、絶対(第4戦に)回してやろうと思っていました」

 初回から飛ばした。真っすぐは160キロ台を記録。左右の両主砲もねじ伏せた。ファイナルS6打数4安打でこの日を迎えた吉田正には徹底した内角攻め。全5球中4球を胸元に投げ込み、2打数無安打。同7打数5安打5打点だった杉本には2回にこの日最速161キロを投げ込み、最後は外角スライダーで見逃し三振。珍しく吠えた。5回もフォークで空振り三振とし「もちろん意識した。2人が打って勢いづくのが分かるので抑えてやろうと思っていた」。気迫はナインに伝わる。

 3回の守備。紅林のライナーを二塁手・三森がダイビングキャッチ。続く福田の二遊間のゴロも三森がさばき、ジャンピングスローでアウトに。右腕は三度、グラブを叩いた。6回2死一塁は宗に右前打を許すも、右翼・柳田が三塁へレーザービームで補殺。流れは絶対に渡さない。

 鷹の絶対的エースとして君臨するが、実は「投手」が好きじゃないという。「ダメならダメで目立つ職業だし、孤独な時間も多いので僕の性格には合ってないかな。楽しいと全く思ったことがない」。育成出身から這い上がり、今や誰もが認める野球研究家。常に注目を受け続ける立場だからこそ、奮い立つ。

 「練習に意欲を持って取り組むようになったのは“千賀なら。お前ならできる”と言ってもらえるから」。重圧、責任、エースの肩書き。全てを背負った一戦。「昨日の夜は久しぶりに“明日先発だ”と思いながら過ごした。それくらい違った1日」と心拍数が上がったが、引き分けでも今季最終戦となる極限のマウンドで、千賀は誰よりも自分を信じていた。(福井 亮太)

 ○…千賀(ソ)が今季ファーストSの西武第1戦に次ぐCS4勝目。プレーオフ、CSでは通算6勝の中田賢一(中=4勝、ソ=2勝)を筆頭に4位タイ。チームではバンデンハーク、石川に並ぶ最多勝利数。

続きを表示

2022年10月15日のニュース