DeNA・23歳ドラ2牧 新人初サイクル 9回三塁打「阪神ファンの拍手」に感謝

[ 2021年8月26日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA10―2阪神 ( 2021年8月25日    京セラD )

<神・D> 9回無死、右翼線に三塁打を放ちサイクル安打を達成し笑顔を見せる牧(撮影・後藤 大輝)
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 DeNAのドラフト2位・牧秀悟内野手(23)が25日、阪神戦でサイクル安打を達成した。プロ野球70人目、75度目の快挙で、新人による達成は史上初。2回に右越え二塁打、3回に右中間14号3ラン、4回に中前適時打を放ち、9回の第5打席に右翼線三塁打をマークした。新人王争いを繰り広げる阪神・佐藤輝明内野手(22)の目の前で、ド派手な偉業をやってのけた。

 舞い上がった打球は、フェアゾーンに吸い込まれるように弾んだ。味方ベンチから飛ぶ「スリー(三塁打)!」の声に押され、牧は全力で三塁に達した。大記録を祝う拍手に包まれると、シャイな23歳が珍しく笑顔でガッツポーズをつくった。

 「自分以上にベンチが喜んでくれていたのでうれしかった」
 三塁打を残し、新人史上初のサイクル安打にリーチをかけて臨んだ9回の打席。岩貞の120キロのスライダーを逆らわず打ち返した。新人王争いのライバル・佐藤輝の前にぽとりと落とした歴史的な一打。牧は「阪神ファンの方も拍手してくれたので気持ちが高ぶった」と汗を拭った。

 「6番・二塁」で出場し、2回に右翼フェンス直撃の二塁打。2―0でリードの3回には伊藤将の初球、140キロ直球を右中間席に叩き込む14号3ランを放った。4回2死満塁での第3打席は、この日5打点目となる中前2点適時打。全てが中堅から右方向。これこそが牧の真骨頂だ。

 中大4年だった昨年8月、大先輩の阿部監督が率いる巨人2軍と交流戦が組まれた。この時、阿部監督が両足を大きく開いた姿勢でバットを振るティー打撃を若手に実践させていた。中大の清水達也監督は、この練習法をすぐに牧にも課した。「(大学に)入ってきた時から右には打つ能力があった」(清水監督)という打撃。阿部流のティー打撃で下半身の粘り強さが増し、磨きがかかった。

 巨人2軍との試合で牧はジャイアンツ球場の右中間にソロアーチ。この日も広い京セラドームの右中間に運び「理想の打撃ができた」とうなずいた。プロ入り後は同じ右打者で広角打法の名手・宮崎が手本。「技術面はまねできないので準備や気持ちのつくり方の部分で助言をもらっている」という。

 ルーキーの4安打5打点の活躍で、京セラドームでの阪神戦連敗は「7」でストップ。三浦監督も「本当に凄い。頼もしい新人です」と称えた。7月は1割台の打撃も8月は8試合19打数10安打の打率・526とV字回復。牧は「使ってもらう以上は結果を出したい」と、表情を引き締め直した。(君島 圭介)

《19年新人 阪神・近本は球宴で達成》ルーキーの牧(D)がプロ野球70人目、75度目のサイクル安打を達成した。新人のサイクル安打は19年近本(神)がオールスターでマークしているが、レギュラーシーズンではこれまで73年弘田澄男(ロ)の入団2年目が最速。新人で達成したのは牧が初めてになる。また、DeNAでは18年7月20日桑原以来8人目、10度目(ローズが3度)。球団別人数では中日と並ぶ最多タイ。回数では単独最多だ。

 ◇牧 秀悟(まき・しゅうご)1998年(平10)4月21日生まれ、長野県出身の23歳。小1から野球を始め、松本第一では甲子園出場なし。高校通算11本塁打。中大では東都大学リーグ通算5本塁打で、3年春に首位打者、同秋にMVPを獲得。3年時の日米野球で大学日本代表の4番に座り、昨年のドラフト2位でDeNAに入団。1メートル78、93キロ。右投げ右打ち。

 ▼中大・清水達也監督 サイクルヒットは凄いね。新人では初なんですか?それは凄い。試合途中にホームランを打ってるな、というのはチェックしていたけど、サイクルとは。最近は試合に出ていないこともあって、どうしているかなと思っていた。連絡を取ったりはしていないですけどね。セ・リーグでは阪神の佐藤(輝)選手も凄く打っていますけど、牧も一生に一度のチャンスだから、新人王を獲るくらいの活躍を期待しています。

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2021年8月26日のニュース