再びグラウンドに立った中田翔 飛び交う多くの意見 恩義を胸に刻め

[ 2021年8月26日 08:30 ]

<巨・D>巨人移籍1号を放った中田(撮影・島崎 忠彦)
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 同僚選手への暴力行為により、中田翔が日本ハムから巨人へ無償トレードで移籍することが決まった。8月4日に暴力行為を働き、11日に無期限での1・2軍の試合出場停止処分を発表。そして、16日に日本ハム・栗山監督が「正直、このチーム(での復帰)は難しいと思っている」と退団の可能性を示唆してからわずか4日後の電撃トレードだった。日本ハムファンにとってはわずかな期間で衝撃的なニュースが連発し、あまりにも早く物事が進みすぎたため、いまだに気持ちの整理がついていないことは想像に難くない。

 移籍が決まった20日に無期限としていた出場停止処分も解除された。「謹慎期間が短すぎたのでは?」、「日本ハムとしての会見は?」、「セカンドチャンスが与えられたことは良かった」。暴力行為に端を発した電撃トレードについては、多くの意見が飛び交っている。

 今月16日に栗山監督が、巨人・原監督に相談したことで実現した今トレード。多くの批判を受けることは覚悟した上でこのトレードを成立させたのは、2人の指揮官の「中田翔の野球人生をここで終わらせてはいけない」、「再起して野球界に恩返しをしなさい」という思いからだった。

 中田の巨人移籍が発表された20日。謹慎期間の長さについても栗山監督に質問が飛んだ。指揮官が強調したのは「甘いかもしれないけど、彼を再生させることの方が大事だと思ってやっている。反省しないんだったら、(謹慎期間が)1年たっても、2年たっても同じ」と説明。中田と電話で長時間、会話する中で「本当に野球ができなくなると思っていたと思う。相当反省して、やばいくらい落ち込んでいた」と引退を覚悟するほど深く反省していると感じ取った。だからこそ「今季が終わるまで野球をやらなかったら本当に野球人として終わってしまう可能性もある」と今オフではなく8月中に他球団への移籍の可能性を探ることになったのだ。

 2人の指揮官が各方面に働きかけ、中田は再びグラウンドに立てるようになった。この恩義を胸に刻み、残りの野球人生を全うするはずだ。失った信頼を取り戻すのは簡単ではない。結果を残すのは当然だが、これまでの自身の行動を顧み、地道に徳を積み重ねていくしか方法はないと思う。裏切ることになった家族、ファン、そして日本ハムと巨人にひたむきに野球に取り組む姿を見せていってほしい。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2021年8月26日のニュース