【市川いずみの届け夏エール】長崎商・西村 天国の祖父に自慢の声届けた 一塁コーチ&代打で奮闘

[ 2021年8月26日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 3回戦   長崎商5-6神戸国際大付 ( 2021年8月25日    甲子園 )

<神戸国際大付・長崎商> 9回2死一塁、長崎商・西村は三ゴロに倒れる (撮影・平嶋 理子) 
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 長崎商の西村騎虎君は一塁コーチャーズボックスから天国の祖父に自慢の声を届けました。進路に迷っていた中3の夏。西口博之監督の教え子だった母・京子さんの勧めもあり入学を決意。準備のため、残り4カ月の中学生活は地元福岡を離れ長崎・壱岐島の祖父母宅で過ごしました。転校先に野球ができる環境はなく、卒業までは近くの公園で壁あてや素振り。祖父・川谷満さんも「よう頑張りよんねぇ」と感心し、走り込みの際は隣を走ってくれました。

 そんな満さんが入学して約3カ月後に漁中に溺死。大きなショックを受けましたが「天国で見てくれてるから頑張らんばよ」の母の一言で奮い立ちました。奥村真也部長が「一塁コーチにうってつけ」という声でメンバー入りし「爺(じい)ちゃんに甲子園に立つ姿を見せる」誓いを果たしました。

 この日も満さんが買ってくれたグラブを持ってベンチに入り、お気に入りのミルクミント味のあめで喉を整えました。同点の9回2死から代打出場。三ゴロも全力疾走しました。サヨナラ負けにも「充実した時間」と話した西村君。天国からきっと、こう言葉をかけてくれるはず。「よう頑張りよんねぇ」。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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2021年8月26日のニュース