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阪神・岩崎 五輪決勝好救援は“もしもし甲斐です”のおかげ 相手打者情報ゲット「自信を持っていけた」

[ 2021年8月17日 09:00 ]

東京五輪の表彰台で笑顔を見せる岩崎(左から2人目)と甲斐(右)(撮影・会津 智海)
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 阪神の岩崎優投手(30)が16日、本紙の取材に応じ金メダル獲得に貢献した東京五輪での秘話を明かした。米国との決勝戦で快投した裏で、感謝したのはバッテリーを組んだソフトバンク・甲斐拓也捕手(28)からの“直電”。15日の広島戦で今季初セーブを挙げて上がったお立ち台では五輪について聞かれ沈黙を貫き場内をざわつかせた左腕が、五輪で得た学び、さらには後半戦へ向けての並々ならぬ意気込みまで語り尽くした。(取材・構成=遠藤 礼、長谷川 凡記)

 金色の頂点へ前進させた快投は、無機質な呼び出し音から始まった。日本の攻撃だった7回裏。肩をつくっていた岩崎は、ブルペンを鳴らす受話器を取った。

 「甲斐からでした。間違いなく、あの電話があったから自信を持っていけた部分はあります。今思い返してみても、すごく分かりやすかったですし」

 試合中、甲斐はブルペンにつながる電話を使ってリリーフ陣と情報伝達や助言を行っていた。レギュラーシーズンではまず見ないベンチでの行動は、ネット上で“もしもし甲斐”と名付けられ話題に。岩崎も「これが“もしもし甲斐”か」と一瞬、表情は緩んだというが、耳に飛び込んでくる言葉の数々をすぐにインプットした。

 「対戦する打者の情報を詳細に伝えてくれました。“これは大丈夫なんで自信持ってください”“これ行ったら、これ行くので”という感じで」。8回表は2番・オースティンから始まり、続く左のカサスのところで登板が予定されていた。真っ先に伝えられたのは3本塁打と勢いに乗る左の大砲へのアプローチの仕方だった。「初球はインコース。ストライクで大丈夫なので思い切ってきてください。そこから外に広げるイメージでいきましょう」(甲斐)。その後もフレイジャー、フィリアと、対戦する可能性がある打者の特性や配球が、限られた時間で確認された。

 実際のマウンドでは無死一塁で向き合ったカサスを外角のスライダーで空振り三振。初球は内角への直球、2球目以降はゾーンを外へ広げていく…打ち合わせ通りの攻めで大きなアウトを奪取すると、後続2人も抑え見事にピンチを脱した。

 初の国際舞台にも「そこまで緊張しなかった」と明かすほど自然体でいられたのは、楽天・田中将の言葉もあった。仙台での合宿中に百戦錬磨の右腕は“背伸び”しない投球を心がけるべきだと後輩に伝えた。「分かりやすかったのは高めを打てない、よく空振りする打者がいる。でも普段、そういう投球をしないなら、あえてする必要はないと。国際試合の経験のある方なので助かりました」

 激闘から10日――。当面はスアレスとの日替わり守護神の可能性がある中、再び「タイガースの岩崎」としてマウンドに上がる日々が始まっている。五輪の舞台で気づき、チームに還元できることも自分なりに見つけた。

 「最後まで諦めない姿勢というか、矢野監督もよく言っていて、そういう姿勢が大事だと再確認しました。自分たちができることをやる。野手も全力疾走するし、投手もバックアップ、次の1点を防ぐとか。そういう積み重ねがこれから大事になってくるし、みんなが同じ方向を向いていけば、良い結果は出ると思います」

 大会前に残した「すべて見返す」の言葉は、今も炎を灯(とも)したままだ。「これからもです。その戦いは続きますから」。反骨の戦いは続く。(遠藤 礼)

 ▽阪神・岩崎の東京五輪 8月2日の米国戦で4回2死二、三塁から初登板し遊ゴロ。4日の韓国戦では2―1の6回1死一、三塁から救援。最初の打者に中安打を浴び同点とされるが、後続を2者連続三振に斬り勝ち越しは許さなかった。7日の決勝・米国戦では1―0の8回無死一塁から4番手で登板。3人を打ち取り無失点で切り抜けた。大会通算3試合で2回無失点に抑え、セットアッパーの役割を全うした。

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