長崎商 待ちに待った69年ぶり聖地1勝 6番・松井が躍動!同点打&決勝打「いいプレーができた」

[ 2021年8月17日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権第4日 1回戦   長崎商8-4熊本工 ( 2021年8月16日    甲子園 )

(長崎商・熊本工)応援団にあいさつへ向かう長崎商ナイン(撮影・後藤 正志)
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 長崎商が8―4で熊本工を下し、2回戦へ進出した。松井心助外野手(3年)が初回に同点二塁打、3回に決勝打を放ち、2打数2安打2打点の活躍で勝利に貢献。13安打と打線がつながり、1952年夏以来69年ぶりとなる甲子園勝利を挙げた。長崎県勢は、今春センバツで大崎が福岡大大濠の前に初戦で敗退。長崎商は春夏連続で1回戦から実現した九州対決を制した。

 69年ぶりの夏1勝を挙げた長崎商ナインは晴れやかな表情で校歌を口ずさんだ。2本のタイムリーで打線をけん引した6番・松井心助は「初戦突破が目標だったので、達成できてうれしい」と声を弾ませた。

 甲子園初戦から実現した熊本工との九州対決。7月の練習試合では勝利したが、気の緩みはなかった。松井は初回に左翼へ同点二塁打を放つと、3回は1死三塁で初球を右前に勝ち越し打。「甘い球が来たので思い切っていった。打った球は覚えていない」と興奮気味に振り返った。西口博之監督は「県大会に入ってからミート力が少しずつ付いてきて成長している。伸びてきている選手」と目を細めた。

 松井は長崎県対馬市出身。中学3年時には全国の離島球児が集まる「離島甲子園」に地元の合同チームの一員で出場し、ベスト8に進出した。同大会はロッテで通算215勝を挙げた村田兆治氏が提唱する大会で「楽しんでやることができました」。この日は本物の甲子園で2安打2打点と躍動。「高校生活を野球にかけてきた。わくわくと緊張感があったが、自分なりにいいプレーができた」と胸を張った。

 県大会5試合は無失策と守備からリズムをつくったが、13安打8得点と打線が爆発。雨のため3日連続で試合順延となり打撃マシンがある室内練習場を借りて打撃に力を入れた。「守備よりも打撃の時間を多く取れたので、その効果が出たのかもしれない」と西口監督。4回までに12安打を浴びせて熊本工を圧倒した。

 長崎商は創部100年を超える伝統校。春、夏ともに県勢初の甲子園出場を果たし、前回勝利の1952年(昭27)夏には4強入りを果たした。平成を飛び越え、令和に入って久しぶりに挙げた聖地1勝。先輩たちを超える挑戦が始まった。(杉浦 友樹)

 ◇松井 心助(まつい・しんすけ)2003年(平15)12月20日、長崎県対馬市出身の17歳。7歳からソフトボールを始める。中学時代は軟式の対馬TKマックスに所属。長崎商では3年春からベンチ入り。好きな言葉は「心配事の9割は起こらない」。1メートル84、88キロ。左投げ左打ち。

 《城戸、田村2枚看板が粘投》2枚看板の投手陣が粘って勝利に貢献した。先発した1メートル80の長身右腕、城戸悠希(3年)は初回に2点を先制されたが、尻上がりに調子を上げて5回3失点。「3回ぐらいから下半身を使って投げることを意識して低めを突くことができた」と振り返った。6回からは横手投げの田村琉登(3年)が登板し、4回を投げて8安打を浴びながらも1失点。「チームのために抑えようという強い気持ちで投げた」と汗を拭った。

 ○…5年ぶり出場の長崎商が勝ち52年夏以来、69年ぶり勝利。夏の甲子園大会では関西学院の70年(39年→09年)に次ぐ史上2番目のブランク勝利となった。選抜では関大第一の69年(29年→98年)が最長。

 ◇長崎商 1885年(明18)創立の市立高校。前身は1858年(安政5)に江戸幕府直轄で開設された英語伝習所。野球部は1920年(大9)に創部。甲子園出場は、春夏通算10度(春2、夏8)。夏は1925年(大14)、春は1933年(昭8)にともに長崎県勢初の甲子園出場を果たす。主な卒業生は東京五輪女子1万メートル日本代表の広中璃梨佳、漫画家の蛭子能収。所在地は長崎市泉町1125。

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