専大松戸が聖地初勝利!“斎藤雅樹2世”深沢11K完封「春に負けてから甲子園1勝を目標にやってきた」

[ 2021年8月17日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 1回戦   専大松戸6ー0明豊 ( 2021年8月16日    甲子園 )

<専大松戸・明豊>6安打完封の好投を見せた専大松戸・深沢(撮影・北條 貴史)
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 1回戦4試合が行われ、専大松戸(千葉)の今秋ドラフト候補に挙がるサイド右腕・深沢鳳介投手(3年)が、6安打11奪三振で完封勝利。今春センバツ準優勝の明豊(大分)を6―0で下し、同校の春夏通じて甲子園初勝利に貢献した。また沖縄尚学・当山渚投手(3年)、盛岡大付・渡辺翔真投手(3年)も完封勝ち。夏の甲子園で3投手の同日完封勝利は、04年8月14日以来17年ぶりだった。

 右腕が美しくしなった。横手から、右打者の外角低めへ137キロの直球が決まる。11個目の三振は見逃し。深沢がセンバツ準Vの明豊相手に、奪三振ショーを展開し、専大松戸の甲子園初勝利を引き寄せた。

 「春に負けてから、甲子園で1勝を目標にやってきた。まず1勝できてうれしいです」 プロ注目のサイド右腕。直球は自己最速に1キロに迫る143キロを計測し、100キロ台のカーブを含む変化球との緩急は抜群だった。3回、自身の失策も絡んだ無死一、二塁。「自分のミスでピンチを広げてしまった。絶対に抑える」と3者連続三振を奪い、勢いに乗った。

 センバツでは1回戦で中京大中京(愛知)に2失点完投も0―2敗戦。畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ=3年)に投げ負け「1球を大切にすることを学びました」と糧にした。春は常時130キロ台後半だった直球は、常時140キロ台前半へ進化。「ピンチの時こそ厳しいコースへ」と繊細さに、馬力と心の成長を加え、同じ聖地で涙を笑顔に変えた。

 竜ケ崎一、藤代に続く3校目での甲子園勝利となった持丸修一監督は「継投を考えていたが、あれだけ良い投球をしていたら代えられない。完璧だった」と称えた。2年先輩の横手右腕・横山陸人(現ロッテ)を追って専大松戸に進学した深沢。横山の影響と、高橋礼(ソフトバンク)を育てた持丸監督の勧めもあり、スリークオーターからサイドに転向して開花した。巨人・榑松伸介アマスカウト統括は「完成度の高い投手。春よりも全ての面でレベルアップしている。斎藤雅樹さん(元巨人)のようなタイプでスライダーも切れがある」と巨人で通算180勝を挙げた大投手に姿を重ねた。

 「鳳介」の名前は母・由紀さんが妊娠時に好きだったドラマ「やまとなでしこ」で、堤真一が演じた「中原欧介」が由来。父・竜之さんが「深いところからでも羽ばたけるように」と思いを込めて授けた。鳳凰(ほうおう)は校章にも描かれる専大松戸のシンボル。「まだ絶好調ではない」という右腕が、甲子園に初めての校歌を響かせた。(柳内 遼平)

 ◇深沢 鳳介(ふかざわ・おうすけ)2003年(平15)11月5日生まれ、東京都江戸川区出身の17歳。第四葛西小1年から「雷サンダース」で野球を始め、上一色中では軟式野球部に所属。専大松戸では1年秋からベンチ入り。50メートル走6秒3、遠投100メートル。1メートル77、75キロ。右投げ右打ち。

 【専大松戸・変則投手の系譜】

 ☆高橋礼 11年入学。アンダースローで3年夏は千葉大会4強。準決勝では木更津総合に2―3で敗れ、甲子園出場なし。専大を経て17年ドラフト2位でソフトバンク入り。

 ☆薄井章太郎 12年入学。内野手兼投手。2年秋から上手から下手投げに転向。3年夏は決勝で東海大市原望洋に2―13で敗れ準優勝。専大を経ていわき菊田クラブで上手投げと下手投げの二刀流に挑戦。現在はBC茨城でプレー。

 ☆横山陸人 17年入学。サイドスローのエースとして、3年夏は4回戦で八千代松陰に1―5で敗れる。19年ドラフト4位でロッテ入り。

 《千葉勢の2桁K完封は16年の木更津総合・早川以来》専大松戸の深沢鳳介が11奪三振で完封勝利。千葉県勢の2桁奪三振&完投完封勝利は、16年唐津商戦の木更津総合・早川隆久(現楽天)の12奪三振以来5年ぶり。右投手では、91年米子東戦の我孫子・荒井修光(元日本ハム)の14奪三振以来30年ぶりとなった。

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