不完全燃焼の31球 中京大中京・畔柳が右肘の「異変」で終戦「力が入らない状態だった」

[ 2021年4月1日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第10日第2試合 準決勝   中京大中京4ー5明豊 ( 2021年3月31日    甲子園 )

<中京大中京・明豊>2番手で登板した中京大中京・畔柳(撮影・坂田 高浩)
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 慌ただしい動きがアクシデントを物語っていた。6回を3者三振に仕留めベンチに戻った中京大中京の畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)が次打者席に姿を現さない。背番号16の赤山泰斗が慌てて入り、2死二塁になると代打として打席に立った。降板を意味していた。

 「思ったより疲労が抜けていなくて、準備の時から(右)肘の方が重く、力が入らない状態だった」

 エースは6回から登板予定だったが、4回に5点を先取され、なおも2死二塁で緊急登板。中飛で切り抜けると5、6回は変化球を主体に6人から5奪三振。ただ、最速は140キロ止まりで明らかに普段とは違っていた。

 「何とかチームを勝たせたい。その一心で投げた。途中降板し申し訳ない」と悔しがったが、準々決勝まで3試合379球。1週間500球以内の球数制限まで121球可能も、31球が限界だった。

 中学時代、練習試合でも打たれると涙した。今年2月の授業でも、幼少時から練習に付き合い19年1月に亡くなった祖母・路子さんについての作文を読み級友の前で号泣した。涙もろいが、この日は泣かなかった。

 「甲子園では一人で投げ切る思いで、投げ込みも多くしないとダメだと感じた。もっとタフさを付けて夏に帰ってきたい」

 4試合計27回1/3を投げ自責点1では満足できない。夏は全国制覇――。決意とともに甲子園にしばしの別れを告げた。(桜井 克也)

 ▼中京大中京・高橋源一郎監督(畔柳について) 今日(31日)の朝、反応というか顔を見て話をし(先発回避を)判断した。(降板は)コンディション不良。体に力が入らない状態だった。

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