日本ハム・ドラ1伊藤 プロ初登板で6回1失点好投、コーチも舌巻く器用さと大胆さで堂々投球

[ 2021年4月1日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム1―1西武 ( 2021年3月31日    札幌D )

力投する先発の伊藤(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムのドラフト1位・伊藤大海投手(23)が31日、西武戦で公式戦初登板。6回4安打1失点、毎回の8奪三振の好投も打線の援護がなく初勝利はならなかった。それでも開幕投手を務めた上沢に続く、先発ローテーションの一角を担う存在として期待を抱かせる投球内容。球団初の道産子ドラフト1位が、その実力を十分に見せつけた。

 勝てなかった。しかし、堂々とした投げっぷり。そして限りなく勝ちに近い投球内容。未来に大きな期待を抱かせる伊藤の102球だった。

 「改めて1球の怖さを知りました。1点を争う試合。序盤から(走者を出して)流れをつくり切れなかったのは反省」

 注目の第一投。バッテリーを組んだ宇佐見とはスライダーで入る打ち合わせだったが、試合前のブルペン投球を終え「スライダーを打たれたら悔いが残る。打たれてもいいから思い切って真っすぐを投げ込もうと思った」と急きょ変えた。先頭・金子の外角に148キロ直球を投げ込み、ストライクを奪った。

 「ガチガチに緊張していた」初回。2死一、三塁で5番・中村を「ウッ」といううなり声を上げて捕邪飛に打ち取って無事に立ち上がると、4回までゼロ行進。5回に呉念庭(ウーネンティン)に甘く入った直球を右翼席に運ばれて先制点を与えたが、強力打線を相手に的を絞らせなかった。

 厚沢投手コーチが舌を巻いたのがダルビッシュ(現パドレス)ばりの器用さだ。チェンジアップはプロの実戦では使用していなかった球だが、試合前練習中に「これ、今日投~げよ」と発案。初回、先頭の金子の打席から投げるなど、新人らしからぬ大胆さを見せた。厚沢コーチは「あれは前日か前々日からの即席。ダルビッシュは試合前のキャッチボールで遊んでいるのをすぐ試合に使っちゃうことがあったので、その感覚に似ている」と驚きの表情で明かした。

 同コーチは「(試合前に)ブルペンで投げているさまも、とてもプロ初登板の人の準備には見えなかった。正直、ここまで5人先発したが一番良かった」と絶賛。それだけに白星をつけられず、栗山監督は「勝たせてやりたかったけど申し訳ない」と頭を下げた。先発不足に悩むチームに現れた救世主。道産子右腕が地元・北海道に希望をもたらす快投だった。(東尾 洋樹)

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2021年4月1日のニュース