待ってました 広島・クロンの来日1号で653日ぶりの単独首位「広島のファンの前で打てて良かった」

[ 2021年4月1日 05:30 ]

セ・リーグ   広島4-2阪神 ( 2021年3月31日    マツダ )

<広・神>来日初本塁打を放った広島・クロンはボールを手に笑顔を見せる (撮影・奥 調)
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 広島期待の新大砲ケビン・クロン内野手(28)が3月31日の阪神戦で待望の来日初アーチをかけた。同点の6回に左中間へ特大の1号勝ち越し弾だ。競り勝ったチームは3連勝。19年6月17日以来、653日ぶりに単独首位浮上だ。

 待望の一発は、開幕から5試合17打席目に飛び出した。それも、助っ人の存在意義をチーム内外に誇示する値千金の決勝弾。床田と並んだ初の本拠地お立ち台で、クロンは「アリガトウゴザイマス」と日本語で切り出し、喜びをにじませた。

 「チームに勝利が付いたことが何より。初ホームランを広島のファンの前で打てて本当に良かったと思う」

 打った瞬間にそれと分かる当たりだった。同点の6回1死で、2番手・加治屋が1ボールから投じた内寄り直球を振り抜くと、快音を発した打球は左中間の3階コンコース奥へ消えた。来日1号特大弾。大砲が表現するインパクトは独特だ。

 「芯で捉えた打球はバットに当たった感覚がない。そんな感じの本塁打。打者としては最高の当たりだった」

 12球団の新助っ人では最速の新春1月3日に初来日して以来3カ月。米国アリゾナ州に住むデラニー夫人の来日を待ちわびる。ビデオ通話アプリ「Face Time」で毎日連絡を取り、努めて明るく振る舞うものの、寂しさは隠せない。

 「明日にでも来てもらいたい。それぐらいの気持ち。彼女と一緒に居ればオン、オフの切り替えがうまくいくし、今の状況も改善できると思う」

 打率・063に終わったオープン戦。規定到達38人の中で、断然最下位という不名誉な結果にも「自分を信じて前向きにやっていれば結果は必ず付いて来る」と必死に汗を流した。その裏に「良き妻であり、良き友人でもある」デラニー夫人の存在は大きい。

 3連勝で乗り込んで来た阪神に連日競り勝ち、3連勝。19年6月17日以来、653日ぶりに単独首位に立った佐々岡監督は「そんなことは考えていない」と苦笑しつつ「ここという場面でね。大きな一発になった」と殊勲のクロンを絶賛する。

 「自分がここに居るのは勝利に貢献するため。これからも勝ちにつながるホームランをどんどん打ちたい」

 愛妻に贈る記念すべき初アーチ。2回には左前打を放ち、来日初のマルチ安打もマークした。勤勉な期待の新助っ人。その仕事は緒に就いたばかりだ。(江尾 卓也)

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