新井貴浩氏 巨人の強さ物語る球際の強さ、背景に勝利への徹底的教育

[ 2020年10月3日 21:10 ]

セ・リーグ   巨人7―4阪神 ( 2020年10月3日    甲子園 )

<神・巨>5回2死一塁、一走・近本は北條の左中間への二塁打で本塁を狙うもタッチアウトに(右は大城)(撮影・坂田 高浩)
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 【新井貴浩 視点】序盤だけを見れば、もっと競ってもいい試合。細かいプレーの積み重ねで差がついた。象徴的なのは、5回の中継プレーだ。わずか数センチの差。この球際の強さこそ今季の巨人を物語る。若いメンバーも多い中、試合を重ねるごとに球際の強さをチームとして身につけてきた印象だ。

 背景には首脳陣の徹底的な教育を感じる。最優先はチームの勝利。そのために何をやるべきか。常日頃から言い聞かせているのでは。実績に関係なく、勝利につながる選手が優先される。たとえば、5打席凡退の松原は右翼守備で好捕が2つ。打てないなら守りで頑張らないと次は使ってもらえない…という危機感があるのだろう。

 攻撃では石井コーチの指導が大きいと思う。広島時代にも「ノーヒットで1点を取るには」と教わった。4回1死三塁で丸は2球で追い込まれ、安打をどう打つかではなく、チームへの貢献を考えた。三振はダメ。詰まっても当たり損ねでも、前へ転がせば得点になる可能性がある。謙虚な姿勢で高めの球にバットを上からかぶせ、二塁打という最高の結果になった。6回も一塁走者としてガンケルに重圧をかけ、大城の3ランにつなげた。

 対戦相手にすれば圧倒されたというよりも、気づいたら負けている。今季の巨人はそんな強さを持っている。(スポニチ本紙評論家)

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2020年10月3日のニュース