“激熱キング争い”阪神・大山 岡本の目の前で再接近の23号 86年バース以来へ「一本一本の積み重ね」

[ 2020年10月3日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-1巨人 ( 2020年10月2日    甲子園 )

<神・巨(17)> 2回無死、岡本(左)に肉薄する23号本塁打を放った大山(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 阪神の大山悠輔内野手(25)が、2日の巨人戦の2回に左翼へ今季23号ソロを放った。リーグトップの岡本に1本差に肉薄する豪快な一発で、チームも4連戦の初戦に快勝。今季最多1万5109人の観衆にアーチで応えた。球団の生え抜きでは84年の掛布以来、右打者では75年の田淵以来となる本塁打王へ、一歩も退くつもりはない。

 虎の主砲にも意地がある。宿敵を打ちのめし、そしてライバルを見上げさせた弾道。逆襲の咆哮(ほうこう)を放物線に変えて、大山が聖地に快音を響かせた。

 「しっかり自分のスイングをしようと思ったので、ホームランになって良かった」

 2回、先頭打者として打席に入った。今村の初球。真ん中に入った133キロのフォークを逃さなかった。持ち味の積極果敢なフルスイングで捉えた打球は、大きな弧を描いて左翼席に着弾。リーグトップに1差に迫る23号先制ソロで、肉薄した三塁・岡本の前を颯爽(さっそう)と通り過ぎた。

 「たくさんの方が見に来てくださっているので何とか勝ちたいと思って試合に臨みました」。10月1日から甲子園の収容人数の上限が2万人程度に引き上げられ、この夜は今季最多の1万5109人の観衆が詰めかけた。声援に応えるのも主軸の務め。最高の結果で虎党の胸も打った。

 球団では86年のバース以来となる本塁打王が視界に入っても、地に足をつけ、信念もブレない。「いきなり30本に増えるわけではないし、今日は23本なんで、次打てば24本ですし、そういった一本一本の積み重ねだと思う」。強く心がけるのは、目の前の1打席、そこで放つチームの勝利につながる一本。だからこそ「チームの勝ちにつながる一打だったので、そこが一番大きい」とうなずいた。

 一振りで白星をたぐり寄せた頼もしい姿に矢野監督は言う。「数字的にももっともっと上の数字、30本とかが見えてくる。ホームラン王を獲ってもらいたいですけど、悠輔自身もランナーを置いたところで、勝ちにつながるバッティングの延長線上にホームランがあると思う」。中軸として1年を駆け抜けた先の“戴冠”を願った。

 5回2死一、二塁で迎えた第3打席も中堅フェンス手前まで飛ばす大飛球を放つなど、今の背番号3には一発の気配が常に漂う。

 「やっぱりチームの勝ちが優先ですし、その中で自分の結果がある。タイガースの代表として試合に出てるので、そういった気持ちが一番です」。最後まで色気は見せない。勝ってこそ報われる一本。大山はまた次の1打席にすべてを懸ける。 (遠藤 礼)

続きを表示

この記事のフォト

2020年10月3日のニュース