工藤采配ピタリ!ソフトバンク・川島 プロ15年808戦目で初4番「やめてくれ」もきっちりマルチ

[ 2020年10月3日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク7―5日本ハム ( 2020年10月2日    ペイペイD )

<ソ・日>初回2死二塁、左前適時打を放つ川島(撮影・岡田 丈靖)
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 首位を走るソフトバンクの川島慶三内野手(36)が2日、プロ15年目にして初めて4番で出場。初回に先制打を放つなど2安打をマークし、チームのリーグ50勝一番乗りに貢献した。今月5日に37歳となるベテランの活躍で2連勝を飾り、2位・ロッテとのゲーム差は2。3年ぶりのリーグ優勝に向け、ここから加速する。

 プロ15年、808試合目で初めての4番。その第1打席、いきなり2死二塁の得点機で迎えた。試合後、その場面を振り返った川島は「やめてくれ、と思いました」と本音?を漏らすも、すぐに「うそ、うそ。打ってやると思った」と訂正。結果は上原の131キロスライダーを捉え先制の左前打だった。

 「信じられない」が正直な感想だった。試合前練習中、本多内野守備走塁コーチが川島に向け、指で「4」を示した。通算35本塁打の36歳は守備位置の数字と勘違いし「いつも通りセカンドか」と思った。確かに二塁での先発だったが、打順はまさかの4番だった。

 もちろん、抜てきにはデータの裏付けもあった。相手先発の左腕・上原に昨季は5打数4安打で1本塁打を記録。今季も2打数1安打、2四球と得意にしていた。3回は冷静に四球を選び、続く中村晃の犠飛につなげた。

 これまで日本ハム、ヤクルト、ソフトバンクと3球団を渡り歩いた苦労人。1メートル73、74キロの小兵でじん帯損傷や右手甲、右肘の手術も経験した。常勝軍団でも存在を認められているのは、外野も守れる守備力や左投手に対する無類の強さ、そして誰からも愛される人柄があるから。昨年までの背番号は「4」だったが、ヤクルト時代の同僚で今季から加入したバレンティンに譲って自ら「99」への変更を申し出た。この日、そのバレンティンが1軍に昇格して試合前の声出しを務めると、横で適当な同時通訳を披露。ナインは爆笑だった。

 この日の12球団の4番打者ではオリックス・吉田正と並んで低身長だが、チームをリーグ最速の50勝に導く、でっかい仕事をやり遂げた。「また4番を打ちますか?」と試合後のインタビューでそう聞かれた川島は「また明日ですね」と胸を張った。それから「うそです」と、いたずらっぽく笑ってみせた。

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