“夏のセンバツ”黄金カード実現 「履正社VS星稜」昨夏決勝の再現

[ 2020年7月9日 05:30 ]

昨年の夏に初優勝を果たし、歓喜の輪をつくる履正社ナイン

 新型コロナウイルスの影響で中止になった今春の第92回選抜高校野球大会の出場32校による「2020年甲子園高校野球交流試合」(8月10~17日)の組み合わせ抽選会が8日に各校主将によるオンラインで開かれ、昨夏甲子園大会決勝戦の再現となる履正社(大阪)―星稜(石川)など全16試合の対戦が決まった。昨夏は履正社が星稜を接戦で破り、悲願の初優勝。あれから1年、熱闘が無観客の聖地によみがえる。

 運命の糸はつながっていた。星稜・内山壮真主将(3年)が「11B」の札を引くと、次順の履正社・関本勇輔主将(3年)は引き寄せられるように「11A」を引き当てた。

 本来なら会場からどよめきが起こったはずの組み合わせ。一瞬、ほほ笑んだ関本は「投打のレベルが高いだけでなく、一つ一つのプレーを大事にしている」と気持ちを引き締め、内山は「投手力もすごく高いが、特に打撃力が高い」と敬意を示した。

 因縁は昨春からつながる。選抜大会1回戦では星稜・奥川が17奪三振の快投を披露し、3安打完封。ともに初優勝をかけた夏は履正社がリベンジを果たした。ベンチから優勝の瞬間を見届けた関本は「思い出しました。先輩は勝ったけど、自分たちは分からない。全力で戦いたい」と誓い、遊撃手として出場していた内山は「昨年の夏の借りを返すことを全員、胸に持つこと」と力を込めた。

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、ともに全体練習再開は6月にズレ込んだ。履正社は練習再開日に関本主将を中心に「普段の夏」と同じ気持ちで代替大会、交流試合に臨むことを確認。「毎年のようにピリピリとした雰囲気で、しっかり練習する雰囲気を主将としてつくりたい」と言う。内山も「一人、一人がいい仕上がりを見せている」と胸を張る。両校が近年恒例にしてきた6月の練習試合が今年はなく、互いがチーム力を最高まで引き上げ、最高の相手にぶつかる構えだ。

 履正社・岡田龍生監督(59)は「去年の夏の決勝は、いち高校野球ファンとしても面白かった」と笑った後、「思い出づくりにはしたくない。勝負事だし、勝って終わりたい」と表情を引き締めた。星稜・林和成監督(44)は「高野連、主催者が何とかここまで、こぎ着けてくれた。やって良かったと多くの人に感じてもらいたい使命感がある」と話す。1試合だけの交流試合にもドラマはある。甲子園の女神は再び、両者を引き合わせた。 (桜井 克也)

 《昨夏胴上げ投手の岩崎「挑戦者で」》昨夏、優勝決定の瞬間にマウンドに立っていた岩崎峻典投手(3年)は「去年は勝ったが、挑戦者の気持ちでいきたい。星稜を目標にしてやってきた、頑張る糧だった」と聖地での再戦を喜んだ。先発の清水を7回途中で救援し、2回1/3を3安打無失点に抑えて貢献。最速145キロ右腕として「甲子園で超えたい」とスピードへのこだわりも見せた。

【星稜―履正社VTR】
◇第91回選抜高校野球大会1回戦 (19年3月23日 甲子園)
星 稜 
   100 000 101|3
   000 000 000|0
履正社
 (星)奥川―山瀬
 (履)清水、植木―野口

 ▼19年選抜1回戦 星稜・奥川が毎回の17奪三振で3安打完封。直球は終盤になっても球威が衰えず、1四球と制球力も抜群だった。打線は初回に山瀬の適時打で先制し、終盤も小刻みに加点。履正社は4番の井上が9回1死一、三塁の好機で併殺打に倒れるなど4打数無安打に終わった。

 ◇第101回全国高校野球選手権決勝 (19年8月22日 甲子園)
履正社
   003 000 020|5
   010 000 200|3
星 稜
 (履)清水、岩崎―野口
 (星)奥川―山瀬
 <本>井上(履)

 ▼19年選手権決勝 履正社は1点を追う3回に井上が中堅左へ逆転3ラン。同点とされた直後の8回には主将・野口と岩崎の適時打で2点を勝ち越した。星稜・奥川は本来の球威がなく、序盤から得点圏に走者を背負う苦しい投球。11安打を浴び、6奪三振にとどまった。

 《オンライン抽選会の流れ》32校主将による抽選はZoomでつながれたオンライン上で行われた。予備抽選は参加申し込み書の到着順で決定。各都道府県による独自大会日程を考慮し、前半(8月10~12日)に14校、後半(8月15~17日)に18校をあらかじめ振り分けた。同道府県や同地区内の対戦を避けた上で32校を2つのグループに分け、各グループの予備抽選で一番若い学校がAまたはBを選択。その後、本抽選を行った。

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