高校通算48発 花咲徳栄・井上 “1試合限定”甲子園で親友と仲間と約束の1号を

[ 2020年7月9日 05:30 ]

2020年甲子園高校野球交流試合 組み合わせ決定

抽選会後、笑顔でポーズを決める井上主将(撮影・会津 智海)
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 「甲子園で必ず会おう」――。見えない敵に打ち砕かれた約束。挑戦することさえできなかった親友の無念を背負い、8月10日の第1試合で大分商との対戦が決まった花咲徳栄の井上朋也内野手(3年)が特別な大会となる聖地で大会1号を描くことを誓った。

 「ホームランに越したことはない。打ちたい気持ちはあります」

 最高の舞台、最後の1試合に全てをぶつけるべく、井上の目は希望に満ちあふれていた。奈良・生駒ボーイズの出身で、佐久長聖(長野)の主将を務める藤原太郎、履正社の池田凜(ともに3年)とは当時から大の仲良しだった。それぞれが高校へ旅立つ前、3人で聖地での再会を約束した。進学後も厳しい練習の合間にグループLINEで近況を報告し合い、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で活動自粛中には、藤原から送られてきた打撃の動画をチェック。実家に帰省した際にも顔を合わせ、あの日の思いを再確認した。

 だが、5月20日に選手権大会の中止が決定。最後の夏は無情にも終わりを告げ「僕と池田は交流試合で甲子園に出られるので、藤原の分も頑張りたい」と思いを新たにした。

 自ら選んだ抽選くじで対戦相手は大分商に決まった。しかも開幕戦となる8月10日の第1試合となり、最速147キロ右腕の川瀬堅斗(3年)とプロ注目同士の対決を前に、2人で選手宣誓を行う可能性もある。

 井上は2年連続で夏の甲子園に出場し、3試合で打率・385、2打点をマークするも一発はない。「部員からも打てよと言われていたので、打ちたい」。岩井隆監督も4番起用を明言。高校通算48本塁打の大砲が、大舞台で親友の涙を大きな虹に変える。(花里 雄太)

 ▼履正社池田 一緒に甲子園に出ようと話してきた。(藤原は)今回の出場も自分のことのように喜んでくれた。

 《佐久長聖・藤原 代替大会で全力誓う》○…佐久長聖の藤原は「2人のことを見てきた。僕も負けたくない」と自らも代替大会に全力で臨むことを誓った。自身は1年夏に甲子園に出場も、最後の夏は甲子園を目指すことがかなわなかった。生駒ボーイズ時代は3番・遊撃の池田、4番・中堅の井上、5番・二塁の藤原と中軸を担った。当時主将だった藤原は2人について「やんちゃだったが野球への意識は高かった」と振り返った。

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