春夏連続4強の明石商・中森 2年生で151キロのルーツは“草食系”

[ 2019年8月24日 09:00 ]

明石商・中森
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 令和初の甲子園大会となった第101回全国高校野球選手権大会は22日に履正社(大阪)の初優勝で幕を閉じました。当コラムでは令和最初の熱い戦いでスポニチ高校野球取材班が印象に残った選手や大会中のこぼれ話を、リレー形式で紹介します。第1回は春夏連続でベスト4入りした明石商・中森俊介投手(2年)をとりあげます。

 無限の可能性を感じさせる投球だった。明石商の中森は18日の準々決勝・八戸学院光星戦で救援登板し、2年生としては13年の済美・安楽智大(現楽天)の155キロに次ぐ歴代2位の151キロを計測。「150キロは小さい頃から目標にしてきたので、達成できてよかった」と話したが、表情一つ変えることなく「151キロに満足することなくやっていきたい」と力強かった。

 中森のルーツをたどると、食べ物エピソードには事欠かない。幼い頃は“草食系男子”だった。兵庫県丹波篠山市の実家の前にはかつて畑が広がっていた。大好物は母・美幸さん(40)方の曽祖母・美栄子さん(85)が漬けていた、畑でとれたウリの漬物。「肉を出すよりご飯がすすんだ」と美幸さんは話す。

 中森を産んで半年後には職場復帰したため、祖母がいなかった中森にとって美栄子さんは母親代わりの大切な存在。いわゆる“ひいおばあちゃんっ子”だった。曽祖母に「にんじんは血をサラサラにするんだよ」と教えられていたことから、幼稚園で好きな食べ物を聞かれた際に「にんじん! 血をサラサラにするから」と答え、周囲を笑わせたという逸話も。家族の愛に包まれて、野菜をたくさん食べ幼少期を過ごした。

 高校2年生になった現在も大食漢ぶりは健在。下宿近くにある海鮮丼店には多いときで週3回、少なくとも週1回は通い、控え投手の宮口大輝(3年)が「1杯でおなかいっぱいになる」というボリューム満点の大盛りのマグロ丼をペロリと2杯平らげる。下宿でも茶わんではなく、ラーメン鉢にあふれんばかりに白米を盛って食べているという。人並み外れた食事の量も、剛速球を繰り出す原動力となっている。

 狭間善徳監督(55)が「連投がきくような肩のスタミナと体力をつけて、もっともっと上を目指してほしい」と期待するように、初戦だった11日の2回戦・花咲徳栄戦では3失点完投したが、16日の3回戦・宇部鴻城戦と準々決勝は先発マウンドを杉戸理斗(3年)に譲った。明確な課題はあるが、来年も春夏出場できれば、同期の来田涼斗外野手(2年)とともに甲子園5季連続出場になる。今夏は星稜の奥川恭伸投手(3年)が154キロを計測し、3回戦・智弁和歌山戦では23奪三振で延長14回完投するなどして決勝まで進み聖地を沸かせた。来年は中森が伝説を生む――。そんな予感がする。(北野 将市)
 

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