【田中浩康の目】プロでもなかなかいない横浜・及川の伸びる低めストレート

[ 2019年3月10日 08:00 ]

招待試合   横浜3―2美里工 ( 2019年3月9日    コザしんきんスタジアム )

<横浜・美里工>5回無失点と上々のスタートを切った横浜の及川
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 元ヤクルト、DeNAで内野手としてプレーし、昨年限りで現役を引退したばかりの田中浩康氏(36)が、9日に沖縄・コザしんきんスタジアムで行われた横浜の練習試合初戦で今秋ドラフト1位候補に挙がる横浜・及川雅貴投手を生観戦した。現役中は2度のベストナインとゴールデングラブを獲得し、数々の好投手と対戦してきた名プレーヤーが及川投手の印象を語った。引退後初のアマ解説です。

 まず、及川投手を見て思ったのは、低めのストレートの伸びが素晴らしいということ。僕は現役の時に西武の菊池雄星投手と対戦したことがありますが、彼もストレートの伸びがすごかった。及川投手は右打者の内角低めにしっかり球が来ている。内角低めは打者にとっての泣きどころ。手が出ません。これだけ伸びるストレートを投げられる投手はプロでもなかなかいないと思います。大きな武器になっていくのでないでしょうか。

 また、現役時代にチームメートだったり、対戦した横浜出身の投手は本当にフィールディングやけん制がうまいなと思っていましたが、及川君も初回にしっかりやっていましたね。相当鍛えられている印象でした。

 試合は小雨が続き、風も強く吹いていました。試合前にはセレモニーが行われるなど招待試合ならではの特殊な状況でした。それでも短い距離のダッシュを繰り返したり、黙々と自分の準備をしていました。1年生からたくさん経験を積んで、自分なりのルーティンや試合への臨み方が確立されているんだと思います。

 ピッチング以外でも身体能力が高いと感じたのは、4回に三塁打を打った後の走塁。走る姿に釘づけになってしまいました。ストライドが大きくて、良い走りでした。ベースカバーなどでも随所にセンスを感じました。

 スタンド、バックネット裏、記者席といろいろ角度を変えて見ました。近い距離でも見ましたが、とても良い体をしていますね。無理に大きくする必要はないと僕は考えます。必要なところに、必要な筋肉がついていればいいし、上のステージに行ってからでも体はどんどん大きくなります。

 伸びしろは無限にあると思います。これから1年間がとても楽しみです。久しぶりに高校野球を観戦し、僕自身もとても新鮮な気持ちになりました。(元ヤクルト、DeNA内野手、早大野球部コーチ)

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2019年3月10日のニュース