イチ、メジャー3000安打へ再加速 3安打より凄い“凡打”も

[ 2016年7月19日 05:30 ]

<カージナルス・マーリンズ>3回、遊ゴロを放ち一塁へ駆け込むイチロー。遊撃内野安打と判定後、チャレンジで遊ゴロに(AP)

ナ・リーグ マーリンズ6―3カージナルス

(7月17日 セントルイス)
 大台へ再加速した。マーリンズ・イチロー外野手(42)は17日(日本時間18日)のカージナルス戦に「1番・中堅」で10試合ぶりに先発出場し、今季5度目の3安打をマーク。メジャー通算3000安打まであと6本とした。固め打ちに加えて、驚異の健脚を発揮したのが唯一遊ゴロで凡退した3回の第2打席。一塁到達タイムは3・7秒を計測し、メジャーベスト5に入った昨季平均の3・98秒を大きく上回った。

 カウントダウンは一気に進んだ。2日のブレーブス戦以来10試合ぶり、後半戦初の先発で3安打固め打ち。「まあ別に僕が何をやっても驚かないですがね」と笑みで返したイチローだが、驚異のパフォーマンスは唯一凡退した打席にあった。

 3回の第2打席。二塁ベース付近へのゴロに俊足を飛ばした。遊撃手が無駄のない動きから鋭い送球を見せたが、一塁塁審の手は一度は真横に広がった。チャレンジの結果、判定は覆り遊ゴロ。ただ塁審も惑わすスピードは、一塁到達タイム3・7秒を計測していた。

 「今日、何秒ですか?3・7だったら速いよね。去年より速いことは感覚的に分かっているんですけど、そんなに違うとはねえ」。一塁到達は4秒を切れば俊足とされる。大リーグ公式サイトによると、イチローの昨季の一塁到達平均は3・98秒で、両リーグ通じて5位タイ。それをはるかに上回ってみせた42歳は驚くべき言葉を続けた。

 「去年というか、5年前と比べても速いと思います。少なくともヤンキースにいた頃(12~14年)よりは絶対に速いのでね。何で?って言われるとよく分からないんだけどね」。昨年から履くビモロスパイクの存在が大きい。片足270グラムの超軽量で、ウサイン・ボルト(100メートル世界記録保持者)の走りをイメージしてつくられた。薬指から着地して母指球に力を伝えることで歩幅を伸ばす特長があり、27・431メートルの塁間では、歩幅が1歩分少なくなっている。導入2年目でのスパイクと体の一体化。体のメンテナンスも怠らない。4日間の球宴休み中も体は動かし続け、グラウンドに出なかったのは1日だけ。調整の内容については「本当のこと言えないな」と伏せたが、全身のネジを締め直した。

 8回には三遊間へ転がし「正真正銘」の遊撃内野安打。2死一、二塁から重盗での三盗も決めた。気温34度の酷暑のデーゲーム。顔を真っ赤に日焼けさせて打って走り、勝利に導いた。メジャー通算3000安打まであと6本。22日(日本時間23日)からの本拠10連戦中の到達はほぼ間違いなさそうだ。不惑を超えても、その健脚はますます加速している。(セントルイス・笹田 幸嗣通信員)

 ≪イチ以外20代≫大リーグ公式サイトが公表した昨季の一塁到達平均タイムは、一塁まで全力疾走とみられる走塁が3度以上あった選手が対象で、凡打と諦めて流した走塁は除外して統計。当時41歳のイチローは5位タイで、全て20代のいだ天に交じって名を連ね、「41歳にして!」と驚きをもって報じられた。一塁到達が最も速かったプレーは、昨年6月にハミルトン(レッズ)がマークした3秒52。平均タイムワーストはバトラー(アスレチックス)らの4秒95だった。

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