【キヨシスタイル】若手が躍動する今こそ、球界の体質改善を

[ 2016年7月19日 09:20 ]

オールスター第2戦で最優秀選手に輝いた大谷(前列左)。筒香(同右)は優秀選手賞

 面白いオールスターだったなあ。勝ち負けにこだわりながら球宴ならではの対決を楽しむ。主役がずいぶん若返ってまぶしかった。

 MVPは第1戦が筒香嘉智(24=DeNA)なら第2戦は大谷翔平(22=日本ハム)。敢闘選手賞には浅村栄斗(25=西武)や鈴木誠也(21=広島)も名前を連ねた。これまで中堅、ベテランの主役に若手が加わるというのが普通だったけど、今や完全に若手が主役。ベテランの新井貴浩(39=広島)がいじられてたもんね。

 2005年にセ・パ交流戦が行われるようになって「夢の対決」という組み合わせはなくなったけど、球宴でしか見られない勝負がある。第2戦で筒香、大谷の一発はいずれも初球の真っすぐを捉えた。暑さを吹っ飛ばす力と力の対決。菊池涼介(26=広島)や今宮健太(25=ソフトバンク)の好守も清涼感を与えてくれた。

 かつてONをはじめ巨人の選手を中心に動いてたオールスター。今や12球団の主役が動かしている。首都圏と大阪に集中していた球団が福岡や札幌、仙台に散らばり、それぞれの土地に根を張った。スタンドを埋める12球団のユニホーム。地域性、フランチャイズ制の特性が出てきている。

 これだけフレッシュな面々が主役になっている今だからこそ、声を大にして言いたい。球界から「グレーゾーン」を一掃しようよ。

 去年発覚したいろいろな問題の中で、野球賭博は言語道断。野球協約で「有害行為」として固く禁じられていて、巨人の4選手が処分された。だが、声出しによる金銭授受問題はどうか。どの球団ももうやってないと思うが、なんとなくうやむやなままになっている。

 かつて「暗黙の了解」で許されたことが、今は許されないということもある。第三者からの金品授受なども含めてダメなことはダメと線引きし、野球協約なり統一契約書にきちんと明文化すべきだ。縛り付けろというのじゃない。やっていいことと悪いことを明確にすれば、外部から批判されることもない。財産である選手を守ることになるのだ。

 より透明で、分かりやすい球界へ。筒香や大谷のパワーにあやかってグレーゾーンを吹き飛ばしてもらいたい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2016年7月19日のニュース