【内田雅也の追球】阪神 不安の再スタート 守備の“要石”鳥谷の緩み

[ 2016年7月19日 08:30 ]

<神・巨>9回無死一塁、坂本の遊ゴロで、鳥谷は二塁にトスするも一塁走者・鈴木(右)をアウトにできず

セ・リーグ 阪神1―2巨人

(7月18日 甲子園)
 キーストーンは曲線を描くアーチ建築の頂上部分にある石を指す。周囲の石が崩れないように締める役割を担う。要石(かなめいし)、くさび石と呼ばれる。

 組織を支える要素として、たとえに使われる。それがないと構造全体が崩れるという意味だ。野球では二塁ベースをキーストーン・バッグと呼び、この中心付近を守る二塁手、遊撃手をキーストーン・コンビと呼んだ。守備の要衝である。

 阪神はこの要石が緩んで失点し、痛い星を落とした。

 1―1同点の9回表、無死一塁。坂本勇人のゴロは遊撃やや右に転がった。鳥谷敬が捕球し、二塁カバーの西岡剛に下手からトスして送球したのだが、一塁走者の代走・鈴木尚広の足が一瞬速くセーフとなった。この1死を取り逃がしたため、2死後の左前打で決勝点を失ったのである。

 公式記録は野選だが、二塁封殺できる打球だった。現に鳥谷も試合後「アウトにできていた」と語っている。受ける西岡も封殺にできると信じていたのだろう。体を伸ばさず二塁上に立ったまま捕球していた。ショートスローの微妙な距離だったが、鳥谷のトスが緩かったのである。

 むろん、俊足・鈴木の好走はたたえられていいが、二遊間コンビに油断がなかったか。

 というのも、6―4封殺で「あわやセーフ」という間一髪のプレーが今月に入って過去2度あった。10日広島戦(甲子園)1回表(一塁走者・下水流昂)の鳥谷―上本博紀、13日ヤクルト戦(神宮)4回裏(一塁走者・川端慎吾)の鳥谷―西岡である。スコアブックに赤ペンで「間一髪」と書き込んである。「セーフ」と判定される不安が現実となったわけだ。

 コンマ何秒の世界である。鳥谷自身が思っている以上に打球到達や捕球―送球の速度が落ちているのだろうか。原因や理由はわからない。敗戦後、ヘッドコーチ・高代延博も内野守備走塁コーチ・久慈照嘉も「(鳥谷)本人に聞いて」とノーコメントだった。

 打撃でも、鳥谷は見逃し、見逃し、空振りの3三振に初球遊ゴロの4打数無安打。西岡も4打数無安打と1、2番コンビが出塁できず、貧攻を招いている。

 球宴明け初戦、梅雨明けの甲子園で湿った試合になった。要石が緩んでは全体が崩れゆく。不安の再スタートである。 =敬称略=
 (スポニチ本紙編集委員)

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