巨人・阿部 “ガチンコドラマ”諦めない 9回V打で勝率5割復帰

[ 2016年7月19日 05:43 ]

<神・巨>9回2死二塁、阿部が左前打に勝ち越し適時打を放つ

セ・リーグ 巨人2―1阪神

(7月18日 甲子園)
 バットの先端を指さしながら歩いた。駐車場への通路。決勝打を放った巨人・阿部は「この先で打った」といとおしそうに言い、ほくそ笑んだ。

 ドリスの初球に腕を伸ばした。1―1の9回。2死二塁から外角低めのボール球を左前に転がし、鈴木を生還させた。

 「当たりはどうあれ良かった。あれ(三遊間)を狙えたら8割くらい打てるよ。半分くらい、ひとりエンドラン」

 6日の阪神戦(東京ドーム)の決勝打にも使ったフレーズ。走者が走り、どんな球にも食らいついてゴロを転がさないといけない状況を、またもセルフイメージした。土壇場の一打で、チームは6月16日以来の勝率5割復帰。セで独走する広島以外の球団が借金を完済したのは、それ以来だ。

 高橋監督は「チャンスなのかピンチなのかというところを救ってくれた」と称えた。直前には無死一、二塁から4番・長野に犠打のサインも、ファウルで追い込まれて強攻策に。さらに6球目の前のけん制死で1死二塁となってから、長野は投ゴロ…。嫌な流れを阿部が一振りで断った。

 今季、初球には25打数8安打で打率・320と強く、2本塁打6打点。モットーがある。「分からない投手ほど、球を見ていても分からない」。ドリスとは初対戦で「見ていかないように積極的にいった」と初球を打った。交流戦で対戦した西武の高橋光やバンヘッケンからも、同じ要領で適時打を放ってきた。

 今季、甲子園での阪神戦は4勝1分け。開幕4連勝は91年以来25年ぶりだ。広島も勝ち、ゲーム差は10のまま変わらなかった。1、2位のガチンコ勝負を公言する「ガチってる」男は「とにかく広島に差をつけられている。少しでも食らいついていきたい」。「ガチンコドラマ」を演じるつもりだ。(神田 佑)

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2016年7月19日のニュース