【西東京】早実・清宮、敬遠失敗逃さず4戦3発 今後は四球激増も

[ 2016年7月19日 05:55 ]

<早実・国士舘>3回1死二塁、右越え2ランを放つ早実・清宮

第98回全国高校野球選手権西東京大会5回戦 早実4―0国士舘

(7月18日 ダイワ八王子)
 早実・清宮幸太郎内野手(2年)は18日、第98回全国高校野球選手権西東京大会5回戦の国士舘戦に「3番・一塁」で出場。1万人を超える大観衆の前で3回に高校通算53号の右越え2ランを放ちチームを8強に導いた。7回には1死一、二塁から敬遠気味の四球で歩かされるなど相手のマークは厳しくなる一方だが、2年連続の聖地まであと3勝。21日の準々決勝は神宮に舞台を移し、昨年と同じ八王子学園八王子と対戦する。

 本塁打を確信した打球を見つめて走りだした。1―0の3回1死二塁。清宮は真ん中の直球を完璧に捉えた。1万1000人大観衆の視線を独り占めする中、高校通算53号の2ランは外野まで埋め尽くされた右翼芝生席へ吸い込まれた。

 「甘いところを一発で捉えられて良かった。打った瞬間、入ったと思いました」

 生還すると三塁ベンチでナインと激しくハイタッチを交わした。前日17日はラグビー、トップリーグのヤマハ発動機監督の父・克幸氏の49歳の誕生日。左翼芝生席で観戦した父に1日遅れの豪快な「バースデープレゼント」を贈り「その気持ちはちょっとはありました」と少し照れた。

 今大会4試合で3本目のアーチ。この日は第1打席で2試合連続の死球を受けるなど、厳しい内角攻めが続いているが、その中で10打数6安打、打率・600、7打点と打ちまくっている。こうなると、相手チームは「逃げる」しか手がない。7回の第4打席。2番・橘内の左前適時打で4―0とした直後の1死一、二塁では、国士舘の捕手が4球続けて大きく外れて構えた。敬遠気味の四球。満塁のリスクを背負ってでも勝負を避けた。

 実は2ランを放った2打席目も国士舘ベンチの指示は「敬遠」だった。しかし、バッテリーには正確に伝わらず、2球続けて外角に大きく外れた後の3球目。「いつでも捉えられる準備はしていた」と、真ん中に入ってきた失投を一振りで仕留めた。怪物スラッガーは「(一、二塁での敬遠は)高校ではあんまり(記憶に)ない。対戦したかった気持ちはあるけど、向こうの策略というか仕方ないなという気持ち。後ろが(1年生4番の)野村なのであまり気にせずやってます」と淡々と振り返った。ここまで7四死球を選び、出塁率は驚異の・765だ。

 金子主将が右足をつって8回の守備から交代。清宮は「自分が内野の中でチームをまとめないといけない」と一塁から声を出し続け、9回2死三塁では「絶対0点で乗り切ろう」と叫んだ。和泉実監督も「的確な言葉でチームを鼓舞している」と信頼を寄せる。

 準々決勝以降の舞台は神宮へ。「東京の高校球児にとって聖地。落ち着いていつも通りプレーができれば」。あと3勝。2度目の聖地へ、清宮のバットが一層凄みを増してきた。(青木 貴紀)

 ▼国士舘・箕野豪監督(清宮の本塁打は)歩かせるつもりだったが、きっちり指示が伝わってなかった。柔らかさと強さを兼ね備えた良い打者。(敬遠は)あそこでもう1点は(あげられないので)。全球サインを出した。

 ▽主な選手の2年夏の地方大会本塁打 大阪桐蔭の中田翔(現日本ハム)は高校通算41本塁打で2年夏の大会を迎え、06年大阪大会は8試合で5本塁打を放ち、46号まで伸ばした。このほか、PL学園の清原和博は84年大阪大会7試合で4本塁打。星稜・松井秀喜は91年石川大会で5試合で打率.412ながら、本塁打は1本だった。

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