頼れる4番の“本拠神話”阿部弾出れば30連勝

[ 2012年9月22日 06:00 ]

<巨・ヤ>2回無死、右越えに先制本塁打を放ち、出迎えたマスコットとハイタッチする阿部

セ・リーグ 巨人6-4ヤクルト

(9月21日 東京D)
 マスクを脱ぎ、全力で駆け出した。巨人の阿部はマウンドの西村と、ナインと、原監督と歓喜の抱擁を繰り返した。

 「率直にうれしい。何回優勝してもうれしいし、きょうは肩を脱臼しなくて良かった」。08年にリーグ優勝を決めた試合で右肩を痛めた苦い記憶。それを思い出して笑った。最後のアウトも冷静な判断で飛び出した一塁走者を刺した。

 不敗神話は大一番でも生き続いた。2回、先頭で村中の内角高め直球を右翼席上段へ運んだ。2試合連発の26号先制ソロ。3回も右翼フェンス直撃の適時打を放った。これで東京ドームで阿部が本塁打を打った試合は、10年7月から2分けを挟んで30連勝となった。

 主将で、4番で、正捕手。「一人3役」をこなした。左かかと、爪先、右足首、左膝。下半身のケガが相次いだ8月以降も、一塁との併用で出場し続けた。4月中旬の名古屋遠征。原監督と市内のうなぎ店で夕食をともにした。「おいしいご飯をごちそうになり感謝しているだけですよ」。うなぎ尽くしの絶品メニューに舌鼓を打ちながら、野球談議も交わす中で指揮官の信頼は伝わってきた。原監督は「このチームは慎之助のチームです。4番がいない中で始まったが12球団を代表するスラッガーになった」とMVPが決定的な柱へ賛辞を惜しまなかった。

 試合以外でもチーム全体に目を行き届かせた。7日のヤクルト戦(神宮)で不振の村田が2回で交代し、試合中に帰宅した際には試合後にすぐさまメールを送った。「切り替えてこいよ」。翌日、村田は丸刈りで現れた。阿部の気持ちが通じた。自らにも厳しい。「人生初」という捕飛の落球で勝ちを逃した5月8日のDeNA戦(宇都宮)。帰京すると、東京ドームのロッカーに落球シーンの写真を飾り、シーズン最後まで通した。「今でもあの写真を見て試合に臨むから。全身の毛穴をキュキュッと引き締めてね」。自らミスを背負い、それを糧とする姿を背中で示し続けた。

 打率・335、98打点でリーグ2冠。本塁打もトップのバレンティンの頭上を越す一発で3本差に迫った。捕手では65年の野村克也(南海)以来47年ぶりの3冠王の期待も懸かる。「本当にこんなチャンスはない。いい緊張感と戦っていきたい」。阿部が導いた圧倒的な独走V。究極の勲章も決して夢物語ではない。

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