樋口美穂子コーチが語る「大人になった」宇野昌磨 「成長している姿を見るのはうれしい」

[ 2022年2月12日 07:00 ]

平昌五輪のキス&クライで笑顔の宇野昌磨と樋口美穂子コーチ
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 かつての愛弟子を、温かい眼差しで見守っている。宇野昌磨を5歳から指導したのが、数々の選手を育ててきた樋口美穂子コーチ。コロナ禍とあって昨今、宇野が中京大で練習することもあり、以前との違いを身近で感じ取ってきた。

 「凄く大人になったなと思います。松生(理乃)さんにトリプルアクセル(3回転半)の話をしてくれたり、私にもしてくれたり。前は、思っていても言わない子だったのが“先輩”みたいな感じで。うれしいですよ、成長している姿を見るのは」

 まだ幼かった頃から光るものがあった。一般営業の中で滑っていると「いいな、あの子」と目を引きつけられた。「始めた頃から華があった」。フィギュアスケートに向き合う姿勢もまた、ほかとは違っていた。

 「名古屋スポーツセンターで練習していた時、最初から最後まで滑っていました。6時間とか、8時間とか。あのストイックさ。ケガをしても休まなくて、疲労骨折をしても滑っていた。壊れちゃうんじゃないかと思うぐらいで、こちらが“もういいんじゃない?”と止めるぐらいでした」

 練習に打ち込み、樋口コーチらと出場した平昌五輪で銀メダルを獲得。18―19年シーズンを終え、宇野は卒業するような形でコーチを変更することになった。北京で団体戦に続く銅メダルを手にした後、取材エリアで本人は言った。

 「僕は(山田)満知子先生、美穂子先生のもとで一生、スケート人生を送るつもりでした。ただ、満知子先生は数年前から“もっとトップを目指すためには外に出た方がいい”と言ってくれていた。いろんなことがあり、最終的に出る決断になった」
 あれから3年近くが経った。今、樋口コーチは「最近の昌磨は好き」と言う。

 「中京で練習しているのを見ると“凄いな”“頑張っているな”と。最近の昌磨は凄く好きですよ。もう一回、自分が上手になりたいんだという気持ちが凄く見える。ストイックで…。今は、声を掛けることぐらいしかできないけど“頑張れー”と応援しています」

 再び教えることはなくても、向上心あふれる24歳の活躍をずっと願っている。(記者コラム・西海 康平)

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