黒岩敏幸氏 お家芸復活担う3選手の強みとは スピードスケート男子500メートル

[ 2022年2月12日 05:30 ]

調整する(左から)村上、森、新浜
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 【今日のツボ教えます スピードスケート男子500メートル・黒岩敏幸】スピードスケート男子500メートルは12日に行われる。日本勢は新浜立也(25=高崎健康福祉大職)、森重航(21=専大)、村上右磨(29=高堂建設)が出場。11日には本番会場の国家スピードスケート館で最終調整した。日本が過去9個のメダルを獲得した種目だが、最近2大会は表彰台から遠ざかる。お家芸復活を担う3選手の強みを、92年アルベールビル五輪同種目銀メダリストの黒岩敏幸氏(52)が語った。

 男子500メートルの歴史を振り返ると、98年長野五輪で「ロケットスタート」を武器に金メダルを獲得した清水宏保以降、日本勢は先行逃げ切り型で、後半に強い海外勢に勝ってきた。だが、10年バンクーバー五輪で長島圭一郎が銀メダル、加藤条治が銅メダルを獲って以降は、海外勢もスタートダッシュを強化。日本は最初の100メートルのアドバンテージを失い、必勝パターンが通用しなくなっていた。

 しかし、近年はフィジカル面を強化し、弱点だった後半も失速せずに滑りきり、世界のトップで戦える日本選手が増えてきた。その筆頭が新浜だ。これまでこの種目の日本勢は小柄な選手が多かったが、1メートル83のサイズを生かしたパワフルでダイナミックな滑りが魅力。第2カーブの技術が年々高くなっており、後半の加速力が安定した結果につながっている。かつて1000メートルでも世界記録を保持していた堀井学に似たタイプだ。

 森重は今季急成長した。元々フォームが奇麗で氷を捉える技術が高く、後半の力はあった。課題だった最初の100メートルが改善され、今季は9秒5台で入る力が付いた。滑らかなスケーティングは長島タイプで、21歳の勢いも期待できる。

 村上の武器はスタートダッシュだ。100メートル、第1カーブと加速し、猛烈なスピードでバックストレートに入る。最初の100メートルを9秒3台か4台で入り、ラスト150メートルを粘って滑りきれば、面白い勝負になるだろう。清水に近いタイプだ。

 3人は皆タイプが異なり、皆メダルを狙える力がある。金メダルの予想タイムは34秒0台。今季W杯総合1位のデュブルイユ(カナダ)ら海外勢も強力で混戦になると思うが、日本勢の金メダルも複数メダルも可能性は十分ある。(92年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダリスト)

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