ききみみ 音楽ハンター

胸を打つ歌声と一貫した世界観が魅力の韓流OST

[ 2020年10月4日 05:30 ]

大ヒット中の「梨泰院(イテウォン)クラス」OST
Photo By 提供写真

 「OST」と聞いてピンとくる人は、韓流ドラマ好きだ。オリジナル・サウンド・トラックの略で、つまり〝サントラ〟のこと。韓流ドラマの劇中音楽集は「OST」と呼ばれ親しまれている。私も好きで、ドラマは見ていないがOSTは好き、なんて作品もある。このOSTの世界を2回にわたり掘り下げる。

 「冬のソナタ」で火が付いた韓流ブームから16年、日本でまた韓国ドラマが大ヒットした。「愛の不時着」と「梨泰院(イテウォン)クラス」。ともに定額動画配信サービス「Netflix」で独占配信され、芸能人やスポーツ選手にまでファンが続出。追って発売されたOSTも異例のヒットとなっている。

 両作のOST日本盤を手掛けたキングレコードの渡菜保子氏は、韓国ドラマOSTの魅力について「歌モノもインストロメンタルも非常に完成度が高い」と語る。主題歌や挿入歌はタイアップなどではなく、ドラマの音楽監督が作詞・作曲することも多く、一貫した世界観が保たれる。「主役はもちろん、脇役や各場面に合わせた楽曲まで毎週のように作られる」という手の込みようだ。

 上質なOSTを支えるのが〝国民の胸を打つ歌声〟を持つ超一級歌手たち。情感豊かに歌い上げるバラードは欠かせない。近年はアイドルのOST進出も顕著といい、「青春シーンにはアイドル曲が必要との認識が広がり、一つのジャンルになりつつある」と渡氏。「梨泰院~」には、米ビルボードチャート首位の快挙を遂げた韓国人気アイドルグループ「BTS」(防弾少年団)のメンバー、V(テテ)がソロ曲を提供し話題に。世界も注目する韓国アイドルらの参戦は新規ファンを呼びそうだ。

 OSTはCDセールスが低迷する音楽界の光明となるか。次回はその可能性を探る。(萩原 可奈)

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