ききみみ 音楽ハンター

波瀾万丈、夢のメジャーデビュー果たす50歳の〝新人歌手〟

[ 2020年4月5日 05:30 ]

50歳で念願のメジャーデビューを果たしたギラ・ジルカ
Photo By スポニチ

 50歳で夢のメジャーデビューを果たしたジャズボーカリスト、ギラ・ジルカ。デビューアルバム、その名もずばり「50(フィフティ)」に収録した11曲は、人生を積み重ねたからこそ歌える個性的な歌詞と、どこか懐かしいメロディーで、1度聞いたら思わず口ずさんでしまうほどだ。

 「これまでもずっと、やりたい事はやってきたけれど〝歌謡曲に挑戦してみないか〟と声を掛けてもらい、50歳という区切りにすごいチャレンジができた」と胸を張る。「くすっと笑えて共感もしてもらえるような、手前みそですがめっちゃいいアルバムができたと思っています」と照れた。

 長年、ジャズの世界で活躍してきた歌声はパンチがあり、同年代の女性なら感じるであろう飾らない歌詞は、思わず2度見してしまうほど強烈。シングル配信もされた「ケンちゃん」は不倫相手に「子どもが欲しい」とストレートに歌い、恋人の度重なる浮気にブチ切れる「セブン」は実体験だという。

 イスラエル人の父と日本人の母を持ち、神戸で生まれ育った。20代のころはABCテレビ「おはよう朝日です」で、宮根誠司(56)のアシスタントを務めるなどタレントとしても活動した。阪神・淡路大震災の数カ月後、飛躍を目指し思い切って上京。「子どものころはいじめられっ子だったし、結婚していた相手にはDVにあって、裁判も起こしたし…」。波乱の50年だった。

 それでも今は、高校2年になるひとり息子が「私の歌も口ずさんでくれるし、人生いろいろあったけど今が一番ハッピー。つらかったことも作品としてアウトプットできて、喜びに変えられるようになった」と話す。「ギラ」は本名で父の母国語で「喜び」という意味だとか。名前の通り人生を歩み始めた50歳の〝新人〟に注目だ。(土谷美樹)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る