ききみみ 音楽ハンター

HANDSIGN あらゆる枠を「超えて」広がる手話パフォーマンス

[ 2019年7月7日 10:00 ]

「超えて」の手話をする「HANDSIGN」のTATSU(右)とSHINGO
Photo By スポニチ

 手話ダンスを交えて歌う男性2人組「HANDSIGN(ハンドサイン)」。見た目も曲も今どきで、キレのあるダンスにさりげなく手話を取り入れる。そのパフォーマンスは米国人、日本音楽界の重鎮にも認められ、障がい者、健常者の枠も超えて広がっている。

 神奈川県出身で幼なじみのTATSUとSHINGO。中学でブレークダンスを始め、2005年にハンドサインを結成した。手話ダンスのきっかけはドラマ「オレンジデイズ」。聴力を失ったヒロインの手話が心に残り、TATSUが「手話で振り付けしない?」と提案。パラパラなど手ぶり中心のダンスが当時流行しており、ひらめいた。09年に米ニューヨーク・アポロシアターの有名オーディション「アマチュアナイト」に出場。手話は世界共通でなく、英語の手話を覚え披露し、決勝で3位に輝いた。

 17年7月に死去した作曲家・平尾昌晃さんも彼らを気に入り、かわいがった。同年1月に2人の出世作「僕が君の耳になる」のミュージックビデオに出演、同5月に開いた生前最後となった公演にも2人を呼んだ。TATSUは「実は僕らに作ってくれた未発表の曲があるんです」と告白。「歌謡曲寄りで歌いこなせるのか。でもいつか世に出せたら」と語った。SHINGOも「〝出会った時にイメージがわいて作った〟と歌詞も書いてくれた」と感謝した。

 新曲「声手」は〝超えて〟と掛けた題名。聴覚障害者の実話を描く前向きで明るい曲だ。「超えて、の手話を入れた振りは簡単。皆で一緒にやりたい」と期待。大阪での観客は約2割が聴覚障害者という。「僕らの曲は健常者にも障がい者にも届く」と胸を張る。来年に控える東京パラリンピックでも「パフォーマンスしたい」と夢を語っていた。(萩原 可奈)


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